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はじめに
「今、住宅営業をしているけれど、仕事がきつい……これは自分のせいなのか」
「ほかの人はどうやって乗り越えているのだろう」
と悩んでいる人もいるかもしれません。
実は、そう感じている人はたくさんいるのです。
今回は住宅営業として働いている人たちが特に「きつい」と感じる理由を5つ解説します。
また、そのきつさをどうやって乗り越えるかについて、いくつか改善策も提案しています。
今後の仕事の参考に、ぜひ活用してください。
住宅営業の業務内容
住宅営業は、顧客それぞれの要望に沿って、住宅を形にしていく仕事です。
単に住宅を売り込むだけではなく、
その前段階である集客、顧客との商談・契約締結、住宅の引き渡し、入居後のアフターケアまでが業務に含まれます。
また住宅の形式も、設計段階から顧客の要望にそって作り上げる注文住宅や、自社持ちの土地に決まった間取りで建てる建売住宅、顧客の住宅を修理したり新しい設備を設置したりするリフォームがあります。
いずれにしても顧客にとっては一世一代の大きな買い物です。
そのため、住宅営業は責任重大な仕事といえます。
住宅営業の離職率は高い!
実は住宅営業に限らず、営業職は離職率が非常に高い職種です。
特に、新規営業と呼ばれる新しい顧客を開拓していく営業形態は、離職率が高い傾向にあります。
新規顧客を獲得するために電話をかけ続けたり、信頼関係をゼロから構築していったりしなければならないからです。
そのため、すでに取り引きのある顧客を相手にして深耕営業や、ルート営業に比べてハードルが高くなるのです。
そのなかでも住宅営業は離職率が高く、3年間で50%以上が退職する不動産会社もあります。
住宅営業がきつい5つの理由
それでは、なぜほかの営業職よりも住宅営業の離職率は高いのでしょうか。
それぞれの企業や営業所ごとに異なる要因ももちろんあります。
ここでは業界全体に共通した理由を5つ見ていきましょう。
普段働きながら意識しない「きつさ」の理由を言語化することで、自分の気持ちを整理できるかもしれません。
ぜひ「自分はここが当てはまるけれど、ここは当てはまらないな」
「自分はこれが一番きついな」と考えながら読んでみてください。
実力主義
大きな理由の1つは、実力主義であることです。
もっとも象徴的なのは、給与体系でしょう。
住宅営業の給与は、ほとんどの場合基本給プラス歩合制です。
つまり、住宅を多く売れば給与が上がる半面、売れなければ低くなり、実力が年収に直結してしまうのです。
収入が上がらない、という実利的なデメリットだけでなく、
営業成績がふるわないことを数字で見せつけられる、という精神的なデメリットにもなります。
加えて昇進も営業成績次第なので、必然的に上司は営業成績の良かった人ばかりで占められています。
たとえ自分自身にあまり上昇志向がないとしても、
実際に成績を上げて昇進した人たちから「もっと売り上げをあげろ」と迫られるのは、プレッシャーが大きいものです。
ノルマがきつい
ノルマがきついのも、理由の1つです。
大手住宅メーカーでは、毎月1件の契約を取ることがノルマになっていることが多いようです。
新入社員の場合の最低ラインは2ヶ月に1件、5年目以降は3ヶ月に2件が業界の相場と考えられています。
件数でなく売上金額でノルマ設定をしている場合もあり、
単価が安い住宅では、毎月複数の契約を取らないとノルマを達成できないこともあります。
しかし、住宅がそう簡単に売れるわけがありません。
世間の景気や税制改正によっても売り上げは大きく左右されますし、
契約を1件取るために半年以上の交渉を重ねることもあるため、コンスタントに契約を取り続けるのは至難の業です。
ノルマ未達成が続くと、暗に退職を迫られたり冷遇されたりすることもあります。
土日に勤務もあり得る
住宅営業の顧客は働いている個人がほとんどです。
そのため、顧客の休日に合わせて動くことになります。
集客のために住宅展示場でイベントを開催したり、商談をするために顧客の自宅に赴いたり、
実際に顧客と対面するのは土日や祝日になることが多いのです。
特に平日に定休日が定められていない場合、出勤日も顧客の都合に合わせることとなり、休日の予定が急遽出勤することになった、ということも起こりがちです。
そうすると生活リズムが乱れがちになります。
加えて、なかなかプライベートの予定を立てづらく、家族や友人との関係にもひびが入る可能性もあります。
なかでも子どもがいる家庭にとっては影響が大きく、女性の住宅営業が少ないことの大きな原因にもなっているのです。
残業が多い
土日出勤と同様、顧客の都合に合わせて働こうとすると、どうしても平日の夕方以降に業務が入ることになります。
実際に顧客と対面したあとに事務処理を終えると、深夜になってしまうことも珍しくありません。
しかも、営業の仕事は顧客との対面がない間も、アポイントメントを取るための電話をかけたり、顧客への提案資料を作ったり、契約書を作ったりと、多岐にわたります。
フレックス制度などで残業を減らそうという動きもありますが、まだ出勤時間が決められている企業のほうが多数派です。
どうしても残業が多く、長時間勤務になってしまいます。
特に睡眠時間が削られるほど、帰宅時間が遅くなってしまうと、精神的な不調にも陥りやすくなります。
社風が体育会系であることが多い
住宅営業に従事する方の中には、体育会系のような社風に悩んでいる場合も少なくありません。
体育会系とは、いわゆる努力などの根性論や自分より目上の人には絶対に従うことを重視する特徴を持っています。
住宅営業の現場ではよく「上下関係が厳しい」「成績が悪いと叱責される」などのケースがあるようです。
そのため、精神的なストレスが溜まりやすい環境とも言われており、「きつい」と感じる要因の一つになっているのかもしれません。
住宅営業にもメリットはある!
ここまで住宅営業のきびしい面ばかりを見てきましたが、もちろん良い面もあります。
実際に同じ職場で働いていても、
「あの先輩はすごくイキイキと仕事をしているな」
「あの同期はどんどん仕事ができるようになっているな」
と感じる人が周囲にいることもあるでしょう。
そういう人たちが、住宅営業という仕事のどこに魅力を感じているのかわかれば、働き方のヒントになるかもしれません。
ここからは住宅営業のメリットを見ていきましょう。
高収入が期待できる
もっとも大きなメリットは、成果次第で高収入を期待できることです。
住宅営業の給与はほとんどが基本給プラス歩合のため、年齢や勤続年数に関わらず、自分次第で収入を上げられます。
特に大手住宅メーカー営業の年収は、平均で700万円から900万円程度となっており、日本の平均年収を大きく上回っています。
なかには20代で年収1000万円以上稼ぐ人もいる、夢のある職種でもあるのです。
中小企業の場合はどうしても基本給が低くなってしまう傾向にありますが、歩合の部分は自分の頑張り次第です。
ちなみに家を1軒売ることができれば、10万円近い歩合がつくこともあります。
具体的な数字を見ると、やる気が湧いてくるのではないでしょうか。
やりがいを感じやすい
営業職のやりがいといえば、やはり契約が取れたときの達成感です。
しかし住宅営業の場合はそればかりではありません。
顧客にとって一世一代の大きな買い物を自分からしてもらえた、という感慨もひとしおです。
顧客の要望に深く寄り添い、それを形にすることが仕事のため、
実際に住宅が出来上がったときには、顧客と協力して作り上げたという充足感も得られます。
アフターフォローという形で顧客と長いお付き合いになることもあり、感謝されることも多くなります。
さらに歩合給として、成果が目に見えるというのも大きなポイントです。
精神的な面でのやりがいだけでは、なかなかモチベーションを保ちにくいものですが、給与という形になると、毎月やりがいを実感できます。
コミュニケーション能力が身につく
もちろん住宅営業をしていれば、自然にコミュニケーション能力が身につくわけではありません。
しかし、営業能力を高めようと努力すれば、結果的にコミュニケーション能力も上がっていきます。
コミュニケーション能力とは、口先がうまいということではなく、相手の話をよく聞き自分の考えを伝えられる、つまり互いを理解しあえる能力のことです。
顧客から見れば、住宅を購入するという一大決心をする際、互いに理解しあえる、信頼できる営業担当者から購入したいと思うのは当然でしょう。
つまり住宅をたくさん売れる営業とは、たくさんの人から信頼される人でもあるのです。
住宅営業で身につけたコミュニケーション能力があれば、プライベートであっても、たとえ転職することになっても、人間関係がスムーズになるでしょう。
住宅営業がきついときの改善策
「メリットがあるとわかっていても、やっぱり実際に働いているときつい」
「少し先のメリットより、すぐ目の前のデメリットが大きい」
と感じる人も、たくさんいると思います。
しかし、業務内容自体は変えられません。
また、休日出勤や残業といった職場の体質も、なかなか変わらないことが多いでしょう。
周囲を変えるのではなく、自分が変わることで仕事を楽しめるようになるのが良いかもしれません。
ここからは、自分でできる改善策を紹介します。
資格取得の勉強をする
住宅営業で一番苦しいのは契約がなかなか取れないときです。
契約が取れるようになるため、自分でできる努力はいろいろありますが、
まずは結果が目に見える努力の1つとして、資格取得の勉強をしましょう。
知識を深めることで顧客に対して自信をもって振る舞えますし、同じことを話したとしても、有資格者と無資格者の言葉では顧客からの信頼度は変わります。
特におすすめの資格は、宅地建物取引士とファイナンシャルプランナーです。
宅地や建物の売買・賃借取引の際、重要事項説明を行うなど、宅地建物取引士の資格が不可欠な業務もあります。
また企業によっては、資格取得による昇給や資格手当が支給されることもあるのです。
加えて、住宅の取引には税金に関する手続きがついて回ります。
そのため、住宅購入以外のライフプランを顧客と共に考えることも重要です。
ファイナンシャルプランナーとしての知識を大いに活用できます。
平日の休みを有効的に使う
住宅営業がきつい理由として土日勤務が多いことをあげました。
しかし、世間の人たちが忙しく働いている平日に休める、ということでもあります。
平日にしかできない用事、たとえば市役所や銀行での手続きなど、わざわざ有休を使って済ませなくていいのは、些細なようですがありがたいメリットです。
そうした実用的な面だけでなく、趣味や娯楽の面でもメリットがあります。
土日だと混み合っている舞台のチケットが容易に入手できたり、お得な割引プランを使って旅行に出かけたり、なかなか予約の取れないレストランでランチを楽しんだり、
平日が休みだからこその楽しみを見つけましょう。
休日にリフレッシュできた分、仕事にも意欲的に取り組めるようになります。
転職をする
さまざまな努力をしても、どうしても住宅営業がきつい場合もあります。
契約件数を上げてもノルマをさらに上げられてしまう、実績に対して給与が低すぎるなど、自分の努力だけではどうしようもないこともあります。
そんなときは、迷わず転職しましょう。
仕事のために努力するのは良いことですが、それは自分にとってプラスになる努力だけです。
自分の身体や精神を削ってまで、仕事を優先すべきではありません。
住宅営業のために習得したコミュニケーション能力や資格は、ほかの職に就いたとしても活用できます。
他業界の企業であっても、人事担当者は住宅営業のきびしさを知っていることも多いため、住宅営業で鍛えられた転職者を歓迎する企業はたくさんあります。
住宅営業の企業の選び方
住宅営業の仕事に対して「きつい」と感じている時は、転職の検討をおすすめします。
きついと思う原因が職場環境にあるのなら、職場を変えることであなたの本来の実力が活かせるかもしれません。
同じ住宅営業に転職する場合、今までの知識やスリルをそのまま仕事に活かせる点がメリットに挙げられます。
仕事自体は好きなのに職場環境だけに不満がある方にとって、別の業種や職種に転職するのはもったいないことです。
早速ポイントを確認してみましょう。
固定給が平均的
住宅営業の求人をチェックする時は、固定給が平均的な企業を選びましょう。
このような特徴のある企業はホワイト企業である可能性が高く、それに加えてインセンティブもしっかりと支払われます。
対して、ブラック企業は固定給が低く、インセンティブが高いケースが多いのです。
いくら仕事内容やインセンティブの高さが魅力的でも、固定給が平均に達していない場合は入社してから後悔する傾向が多くあります。
ある程度の固定給が用意されていることによって精神的なストレスが減り、仕事に集中できる環境が手に入るかもしれません。
ブラック企業への入社を避けるためにも、求人をチェックする時点から固定給についてはきちんと見極めておきましょう。
研修制度が充実している
住宅営業に限ったことではありませんが、転職の際は研修制度が充実している企業かどうかも重視してください。
同じ職種だとしても企業によって営業ノウハウなどは異なります。
住宅営業の経験がある場合でも、転職先の企業にとってあなたは新人です。
知識がまだ十分でない新人への教育制度が充実している企業は、営業へのサポートが充実している可能性があります。
充実した研修制度を行う企業は安定的な長期雇用を考えているので、結果的に良い人材が育つのです。
そのため、職場環境も良好な企業が多く、もし成績が伸び悩むようなことがあった時は実りのあるアドバイスやサポートをしてくれるはずです。
きっと更なるスキルアップも目指せるでしょう。
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まとめ
ここまで住宅営業がきついと感じる4つの理由と、その改善策について解説してきました。
実際に働いていても気づかないポイントや、今後の働き方のヒントは見つかったでしょうか。
「転職をする」の項目でも述べましたが、仕事よりも優先すべきなのは、
自分の心身の健康です。
住宅営業を続けるとしても転職するとしても、健康に働き続けられるよう、
そしてできれば「きつい」と感じることなく働けるように、この記事の内容をぜひ活用してください。