はじめに
短時間・長時間の勤務を問わず、人にとって仕事の良し悪しはQOLに直結するものです。
特に、働く時間の限られている子育て中の人は、仕事探しにも苦労していると聞きます。
そういった状況の人の手助けをしてあげられるのが、人材業界の営業職です。
誰かの役に立つ仕事をしたいと考えている人には、ぴったりな仕事と言えるのではないでしょうか。
今回は、そのなかでも人材派遣営業を目指す人に向けて、面接のポイントやよくある質問などを解説していきます。
【人材派遣営業に向いてる人】人材業界とは
年功序列や終身雇用制度が破綻し、より良い条件を求めて転職を考える人が増えてきました。
企業としても、事業展開に適した戦力を補うために、求人広告やコンサルティングを利用しています。
現状、人材業界の需要は増加傾向です。
求職者と企業のマッチングをはかる役割が期待されています。
人材業界の営業職は現場で活躍する、いわば業界の花形とも言える仕事です。
人材業界には、求人広告や人事コンサルティングのほかに、人材派遣や人材紹介があります。
人材派遣会社
人材派遣会社とは、自社に登録している派遣スタッフが働いた分の料金を、派遣先の企業から受け取るビジネスモデルです。
人材派遣会社と派遣スタッフの間では、労働契約が結ばれています。
仕事の依頼や給与の受け渡しも、両者の間で行われているのが特徴です。
求職者のメリットに、望む働き方ができること、労働環境での悩みを派遣会社に相談できることがあげられます。
また、これまでに培ってきたスキルを活かせたり、正社員雇用に切り替えられたりする職場もあります。
企業としては、自社で求人広告を出すよりも、比較的コストを抑えられる点がメリットです。
必要な時間帯にだけ派遣社員に働いてもらうなど、業務効率を改善することもできるでしょう。
人材紹介会社
人材紹介会社は、求職者のスキルや条件をもとに企業とマッチングをさせます。
求職者が入社したら、企業から手数料を受け取るビジネスモデルです。
転職エージェントやヘッドハンティングなどがこれに該当します。
まず求職者に登録してもらうという点では、人材派遣会社と同じです。
その後の面談で条件面などの詳細をすり合わせ、それに合った企業を紹介します。
雇用形態は契約社員や正社員などです。
そして、企業との面接の日程を調整し、採用が決まれば手数料を受け取ります。
一般的に、求職者と面談をするコーディネーターと、企業から依頼を受ける営業とで仕事が分かれています
ごくまれに両方を1人で担う場合もあるので、どちらかを希望しているなら事前に確認しておきましょう。
【人材派遣営業に向いてる人】人材業界の将来性
人材業界の将来性は、新型コロナウイルスや少子化の影響もあり、現時点ではまだ不透明です。
人材派遣業は、国内では広告業界に匹敵する業界規模を誇りますが、景気の影響を受けやすい業界です。
経済が好調であれば市場も活発に拡大しますが、逆に不調になると、縮小する傾向があります。
これは、不況時には企業が、採用に対して消極的になってしまうことが理由として挙げられます。
2008年にリーマンショックといった景気の落ち込みがあったものの、景気が上向きであったことから、人材派遣業の業績は安定しており、市場拡大が進んでいました。
ところが、新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う緊急事態宣言の発令により、2020年1月以降、一気に人材派遣業を取り巻く状況は大きく変わることになります。
採用を見送る業界がある一方で、人手不足の業界も増えてきており、人材派遣業は、今までの事業の見直しや生き残りの戦略を考える時期に来ています。
【人材派遣営業に向いてる人】人材派遣営業の仕事内容
「営業職は仕事の内容がきつい」と聞いたことはないでしょうか。
「気にはなっているが、続けられるかどうか不安」と思っている人も多いものです。
たしかに、多くの人に関わったり足を運ぶ必要があったりと、きつそうなイメージがあります。
しかし、仕事探しに悩む人や人手不足で業務が滞る企業に対してサポートができる、やりがいのある仕事です。
この記事では、特に家庭の事情などで登録する人の多い、人材派遣会社の営業職を取り上げていきます。
法人営業
まずは、企業を訪問し求人の状況をヒアリングする、法人営業の仕事について解説します。
人材派遣営業では、自社に登録しているスタッフを派遣するための企業を開拓していかなくてはいけません。
企業から現在の状況やどのような人材を求めているのかを聞き取ります。
それらをふまえて、勤務条件や譲れない点を確認し、ときにはこちらから提案をしていくことも必要です。
あまりにきびしい条件の場合は、求職者が応募を控えてしまうことも考えられます。
登録スタッフの状況と、企業の求める人材をできるだけ近づける努力が欠かせません。
お互いに希望と差異がある場合、いずれ大きな亀裂となり、早期離職につながってしまいます。
企業側の条件をごまかさず、率直に求職者へと伝える役割もあるでしょう。
派遣スタッフのフォロー
すでに企業へ派遣されているスタッフに対してフォローを行うのも、仕事の1つです。
派遣先へ電話をして、派遣スタッフの仕事の状況などを聞き取ります。
事前に聞いていた内容と違う点がないか、教育は充分に受けられているかなどの確認が主です。
職場の人間関係で困っているなどの問題があれば、必要に応じて、企業に改善をしてもらうよう相談します。
これは、派遣スタッフがしっかりと働けるようにするのが目的です。
長く働いてもらえれば、それだけ企業から派遣会社や紹介してくれた営業への信頼も厚くなります。
また新たな求人の必要が出てきた際に、依頼を受けやすくなると考えられるでしょう。
企業によっては、依頼する人材派遣会社を固定していることもあるくらいです。
【人材派遣営業に向いてる人】面接をする前に
就職活動における最大の悩みは、面接なのではないでしょうか。
特に人材派遣営業は、求職者と企業とでとても多くの人と関わる仕事です。
どういったことに気をつければ良いのかわからず、自信がもてないのも当然と言えます。
ただ、面接は職種に限らず、力を入れるべきポイントは共通です。
仕事に活かせそうなスキルの洗い出しや、その企業を選ぶ理由など準備できることはたくさんあります。
紹介するポイントを押さえて、就職活動の山場を乗り越えてください。
自己分析
まず欠かせないのが自己分析です。
何をしたいのか、将来はどうありたいのかを客観的に見つめ直してみましょう。
自己分析をすることで、自分のことがよくわかるようになります。
それにともない、面接の際も効果的に自己アピールをすることができるでしょう。
面接では必ず自分の長所や短所を聞かれるので、あらためて確認する意味でもおすすめです。
自分を客観的に見ることが難しい人向けに、オンラインの性格診断サービスもあります。
特にはじめてで要領がつかめない場合は、お試しで受けてみると良いでしょう。
ほかには、モチベーショングラフやマインドマップを書いてみることもおすすめです。
自分では気づかなかった新たな一面を発見したり、忘れていたことを思い出したりするかもしれません。
業界研究・企業研究
面接においては、業界研究や企業研究が欠かせません。
特に人材派遣会社を希望する場合は、念入りに行う必要があります。
なぜなら、人材派遣会社は日本全国にたくさんあるからです。
それぞれに強みや特徴が異なるので、自分のやりたいことに合った派遣会社を見つけましょう。
最初は受けたいと思っていた企業が、調べるにつれて「イメージと違うかもしれない」と気づくこともあります。
また、志望動機の説得力を増すために、業界研究・企業研究は重要です。
面接官は数多くの応募者の志望動機を聞いてきているので、熱意を判断するのに慣れています。
企業のWebサイトや資料を隅々まで確認しておきましょう。
ほかの応募者が気づかないようなことを見つけられたら、強い印象を残せるに違いありません。
面接練習
面接に慣れないうちは誰でも緊張するものです。
少しでも緊張をやわらげ、面接を成功させるために、練習を繰り返し行いましょう。
大学のキャリアセンターや就活エージェントなどを利用して、面接対策をするのがおすすめです。
面接の際における所作から志望動機などの話す内容まで、フィードバックを返してくれます。
自分に何が足りないのか、どうすればさらに良くなるのかがわかるでしょう。
志望動機などは、まだ固まっていなくても大丈夫です。
むしろガチガチに決めていると、柔軟な対応ができなくなってしまいます。
面接は一問一答でなく、面接官との会話です。
どのように話が展開しても、うまく返せるように準備をしておくのがベストと言えます。
【人材派遣営業に向いてる人】人材派遣営業に向いている人
営業職は人と接する仕事のため、総じてコミュニケーション能力が重んじられます。
人材派遣営業でもそれは同じです。
ただ、誰とでもニコニコ話せたら良いのかと言えば、決してそうではありません。
派遣スタッフや企業との間に立つので、ときには食い違いが生じ、うまくいかないこともあります。
自己分析を進めるうちに、自分が本当に向いているのか不安になってきた人もいるでしょう。
そこで、次は人材派遣営業に向いている人について解説します。
コミュニケーション能力が高い人
営業職に必須のコミュニケーション能力は、人材派遣営業でも共通です。
これは、人材を扱う仕事であるため、欠かせない能力と言えます。
求職者が登録をする段階では、その人の性格やスキルといった部分はあまり見えてきません。
面談をする中で、向き不向きを見抜き、ときには希望とやや異なる視点から提案をすることも必要です。
企業からすれば、その人が本当に必要としている人材なのかはわかりません。
なぜなら、人材は無形商材であり、働き始めるまでは実際に能力を目にすることができないからです。
そのため、求人を託している人材派遣会社の営業マンへの信頼度が重要になってきます。
企業の担当者とこまめに連絡を取り、求められるスキルなどを把握することが大切です。
へこたれない人
メンタルの強さも、人材派遣営業には必要です。
求職者は同時にいくつも派遣会社に登録している場合があります。
これは、就職の不安をやわらげる、または少しでも条件の良いところを求めているからの行動であり、止められるものではありません。
そのため、面談を重ねて派遣先が決まったとしても、現地に行ってくれない可能性もあるのです。
企業としては新たな戦力として見込んでいた派遣スタッフが来ないので、とても困ってしまいます。
派遣会社や担当の営業にクレームが入ることになり、代わりに謝罪しなくてはいけません。
何か都合の悪いことがあったのか、そのまま音信不通になる派遣スタッフも多いです。
メンタルが強く、少々のことではへこたれない人が向いていると言えます。
勉強熱心である人
派遣会社によっては、業種や職種を限定せず、幅広い企業からの依頼を受けているところもあります。
その場合はさまざまな業種と関わることになるため、仕事内容などを個々に把握しなくてはいけません。
なかには特殊な業務もあり、企業との会話の中で専門用語が使われることもあるでしょう。
派遣スタッフにきちんと説明できるように、事前に勉強しておく姿勢が求められます。
また、人材派遣に関する法律「労働者派遣法」は改正されやすいです。
1986年に施行されてから、すでに10度以上も改正されています。
2021年には1月と4月の2度改正されました。
派遣会社の顔として求職者と企業の間に立つ仕事である以上、改正の都度、知識を修正する必要があります。
行動力がある人
人材派遣業営業に向いている人として、行動力のある人が挙げられます。
営業は人材と企業をつなぐ立場であるため、相手と会ってからのプレゼンはもちろん、それまでの準備も十分にしておくことが求められる仕事です。
そのため「どうすれば契約をとることができるか」「紹介した人材を採用してもらうには何をすればいいか」を常に考えて行動しなければなりません。
加えて積極的に相手とのコミュニケーションをとり、行動することができる人が向いています。
受け身で仕事をするのではなく状況にあわせて行動ができる人こそが、人材派遣の場では求められているといえるでしょう。
人を相手にする仕事なので、相手に合わせた気遣いやコミュニケーションをとって行動することも必要となります。
物事を最後までやり切れる人
物事を最後までやり切れる人も、人材派遣営業に向いています。
人材派遣の場は、単に紹介した人材が採用されれば、それで終わりというわけではありません。
派遣した人材が職場で快適に仕事ができているかどうか、職場で何か問題が起きていないか、また企業側で採用後に困ったことが起きていないかなど連絡を取り合うことも必要です。
相手企業に対し、1つ紹介すればそれで終わりとならないのが人材派遣です。
継続して人材を紹介し続けることができるよう、どの仕事も最後までフォローしてやり遂げることが営業には求められます。
どんなことに対しても常に最後までやり遂げるためにはどうすればいいのか、常に考えながら行動し、きちんとやり遂げられる人は向いているといえます。
【人材派遣営業に向いている人】人材派遣営業に不向きな人
人材派遣営業は幅広く求人をしており、未経験でも受け入れてくれるため、営業の仕事を経験するのが初めてという方にも人気のある仕事です。
また、他の営業職と違った経験が得られる職種であるため、営業職としてステップアップを考える人にも多く選ばれています。
ただ、どんなにやる気があったとしても、性格や資質的に人材派遣営業そのものに向いていない人もいます。
そこで、人材派遣営業には向いていないのはどんな人なのか詳しく見ていきましょう。
受け身な人
仕事に対して受け身の姿勢になりがちな人には、人材派遣営業は向いていません。
人材派遣の仕事は働く人と企業の橋渡しをする役目をもっていますが、営業は企業を開拓していくのが仕事です。
そのため、新しい企業の開拓とともに契約している各社とも常にコンタクトをとり、どういった事業を展開しているか、そのためにどういった人材が必要なのかといった情報を集めることが求められます。
さらに、登録をしている求職者に対しても企業の最新の情報を提供することで、企業と人材のミスマッチをなくしていかなければなりません。
周りや上の人間に指示されるのではなく、常に自分で考えて仕事を進めていくことが必要なので、受け身になりがちな人には向いていない仕事といえます。
臨機応変に対応できない人
状況に臨機応変に対応できない人も、人材派遣営業には向いていません。
先にもご紹介したように、人材業界は景気による影響を受けやすいため、不景気には企業が採用を見送ったり、逆に景気がいいときに人材不足になったりするといったことも考えられます。
そういった状況の変化にもすぐに対応し、企業にとっても求職者にとっても最善の方法を考えた上でやり取りをしていかないと、顧客との信頼関係を損ねてしまい、働いている職場の立場を危うくしてしまいかねません。
特定の商材ではなく流動的な人を相手に営業をしていかなければならないので、ほかの営業よりもやり取りが難しいのが人材派遣営業の仕事です。
その分やりがいもあるといえますが、ルーティンワークのような仕事が得意な人には、不向きであるといえます。
一人で業務をこなしたい人
一人で業務をこなすことが得意なマイペースな人にも、人材派遣営業は向いていません。
営業の中には、相手への交渉や連絡といったすべての業務を一人でこなすことが求められる職種もありますが、人材業界は人を相手にする仕事なので、社内でも社外でも、多くの人とやり取りをすることになります。
企業や派遣の人材の都合を常に優先することが求められるため、予定していた打ち合わせが変更になることや、急なアポイントが入ることもあります。
自分のペースではなく相手に合わせてする仕事なので、休日出勤や残業も多くあります。
そのため、仕事は自分のペースでしたい、計画も自分で決めたいなど、自分で仕事の配分をしたい人には、人材派遣営業の仕事はおすすめできません。
【人材派遣営業に向いてる人】されやすい質問
人材派遣営業の面接では、どのような質問をされるのでしょうか。
質問の内容としてはほかとあまり変わらず、自己PRや志望動機などの一般的なものがほとんどです。
特に気をつけたいことに「自分のことよりも、相手にどう貢献してあげられたか」をアピールすることがあげられます。
人材派遣営業は、仕事探しに困っている人の役に立つ仕事です。
「誰かのために何かをしてあげたい」という気持ちがあるかどうかが評価のカギと言って間違いありません。
まとめ
仕事探しはいわば、人生の岐路です。
なかなか自分の希望するような仕事が見つからず、困っている人も多くいます。
人材派遣営業はそういった人のために、親身になって適切な職場を見つけるための手助けをする仕事です。
依頼を受ける企業とのやり取りや法律の改正など、難しい場面ももちろんあります。
その分、求職者と企業のマッチングがうまくいったときは、ほかにはない大きなやりがいを感じられるでしょう。
準備すべきことや面接を受ける際のポイントは、どの職種にも通じることばかりです。
この記事を参考に面接対策を充分に行い、まずは自分の就職活動を成功させてください。
あなたが人材派遣営業になって、多くの人の仕事探しがうまくいく未来を実現しましょう。