はじめに
新卒の就職活動とは違い、転職する場合は職務経歴書が必要です。
特にはじめて転職をする場合は、この職務経歴書の書き方に悩む人もいるでしょう。
前職で、実績が数字ではかれる仕事でなかった場合や、職務経験が浅い第二新卒の場合は、アピールできる実績がないかもしれません。
したがって、職務経歴書がうまく書けず、転職に不安を感じている人もいるでしょう。
ここでは、職務経歴書に書くべき実績がない人や、はじめての転職で職務経歴書の書き方がわからない人に向けて、効果的な職務経歴書を書くポイントや注意点を紹介します。
【営業実績がない人への職務経歴書】実績がなくても職務経歴書は書ける
営業実績がないために職務経歴書が書けず、企業に採用してもらえないと思っている人も多いのではないでしょうか。
たしかに、自分の能力を証明できるような実績はあったほうが企業に強くアピールできるため、有利であることに間違いありません。
しかし、営業職のように実績が目に見える形であらわれない職種も多くあります。
また、職歴の浅い場合などは、営業職であっても書けるような実績がない人もいるでしょう。
そのような場合でも、転職をするには職務経歴書が必須です。
実績がなくても、職務経歴書は書けます。
できるだけ有利に働く職務経歴書を作成するためのポイントや注意点を押さえて、実績がなくても採用につながるように対策をしましょう。
【営業実績のない人への職務経歴書】職務経歴書とは
そもそも、職務経歴書とはどのような役割のある書類なのでしょうか。
転職がはじめてという人の中には、新卒時の就職活動では必要のない書類であったため、職務経歴書の書き方からよくわからず不安な人もいるでしょう。
さらに職務経歴書は、決まった書式がありません。
つまり、履歴書やエントリーシートのように、要求される内容を決められた欄に記入すれば良いというものではないのです。
そのため、より不安になってしまうかもしれません。
まず、職務経歴書について知っておきましょう。
職務履歴書とは
職務経歴書とは、過去の業務で身につけた知識やスキルを企業へ具体的に伝えるための書類です。
つまり、過去に働いたことのある人ならば、必ず書けるはずです。
そして、転職をする際は履歴書とセットで必ず提出することになります。
履歴書は、応募者の基本的なプロフィールを知る書類です。
一方の職務経歴書は、応募者がどんな仕事をすることができるのかを知るための書類です。
どちらも、企業にとっては、応募者を知るための説明書ですが、職務経歴書はその中でも仕事に的を絞った説明書と言えるでしょう。
記載する項目
職務経歴書の書式は、特に決まったものがありません。
実績が書けない場合は、以下の5点を書くと良いでしょう。
・職務の要約
・職務履歴
・工夫したポイント
・資格
・自己PR
「職務の要約」は、あとに続く「職務履歴」についてわかりやすく要約した内容を書きます。
どのような仕事をしてきた人物であるかを知るため、まず企業が目を通す項目です。
したがって、企業と関係の深い職務を強調して書くと良いでしょう。
「職務履歴」と「工夫したポイント」は、どのような仕事をしてきたかを説明する一番重要な部分です。
企業の求める能力に沿って書くようにしましょう。
「自己PR」は3〜5行程度です。
「工夫したポイント」と「自己PR」で実績がないことを補えるよう、特に強調できるような内容を書きましょう。
【営業実績のない人への職務経歴書】職務経歴書を書くための準備
職務経歴書は、自分の仕事の経歴をただ羅列すれば良いわけではありません。
企業が書類上で応募者を知ることができる情報は限られています。
特に転職者の場合は、入社後に仕事を問題なくこなせるかどうか評価するための資料として、職務経歴書は重要な役割を果たします。
そのため、職務経歴書は転職活動を成功させるためには、非常に重要な書類です。
作成のための準備は入念に行って、より魅力的に見える職務経歴書を作ることに力を注ぎましょう。
自分のキャリアを振り返る
自分がこれまでどのようなキャリアを積んできたのか確認しましょう。
職務経歴書を作成する前に、新卒で入社してからこれまでに、どこの部署でどのような仕事をしてきたかを具体的に書き出します。
第二新卒の場合など、職歴が短い場合は、担当した業務内容をなるべくくわしく書き出してみましょう。
さまざまな業務ができるようになる過程では、何かしらの気づきがあったはずです。
これまで仕事をしてきた経験の中で自分が何を成し遂げたのか、どのような成長があったのかを明確にしておきましょう。
この作業は客観的に「自分の武器が何か」を把握することに役立ちます。
このとき一緒に、自分が何をしたくて転職するのかも明確にしておくと、ミスマッチを防ぐことにつながるでしょう。
企業の求められている人材を把握する
企業が職務経歴書で何を見ているのかを把握していなければ、有効な職務経歴書は作れません。
ただ自分の経験した業務内容を羅列するだけでは、企業に興味をもってもらうことは難しいでしょう。
企業は、応募者がどのような業務を担うことが可能なのか、何に対して即戦力となりうるのかを見たいのです。
したがって、企業がまったく興味のない分野でアピールしても仕方がありません。
企業が求めている人材はどのような人で、自分がいかにマッチしているかを示せるような職務経歴書であることが重要です。
そのためには、綿密な企業研究をする必要があります。
そのうえで、企業の求める人物像に沿った自己PRがされている内容の職務経歴書になっていることが大切なのです。
自分のキャッチコピーを見つける
新卒として就職活動をした際に行った自己分析は、転職活動においても準備の基本です。
自己分析は、これまでのさまざま経験を書き出し、それぞれの場面で自分が何を感じたかを振り返り、客観的に自分を知る作業です。
転職では、新卒のときの自己分析に、前職での経験が加わります。
仕事上での、どのような場面で何を感じ、どう行動をしたかを、できるだけくわしく書き出してみましょう。
自己分析の作業を通して、仕事上での自分の強みや弱みを客観的に把握できるようなったら、自分のキャッチコピーを考えてみましょう。
これは、自分の売り出し方を考えるということです。
自分がどのようなビジネスマンであるのかという軸を作り、企業にアピールしましょう。
キャッチコピーにすることで、自分を一言であらわせるため、企業の目にも留まりやすくなるのです。
【営業実績のない人への職務経歴書】職務経歴書を書く際のポイント
職務経歴書を書くための準備作業を終えたら、企業が応募者に求めている能力に沿って、自分がこれまでの仕事で身につけた武器がアピールできる職務経歴書を作成していきます。
営業実績が書けない分を補えるように意識して書きましょう。
より企業に興味をもってもらうためには、次にあげる3つのポイントに沿って書くと効果的です。
ここでは、営業実績について書かない職務経歴書を魅力的に見せるため、注意すべきポイントを紹介しましょう。
なぜ?どのように?を意識する
課題を見つけ、それを解決する「課題解決能力」はどこの企業でも、重要視される能力です。
課題に対して「なぜ?」「どのように」「何をした」のかを書くことで、課題可決能力のほか、その人の価値観も伝えられます。
実績を出している人は、この「何をした」という部分で、実績を具体的な数字でアピールできます。
その点で実績がない人の場合は、「なぜ?」「どのように」の部分で、具体的な実績がないことを補う必要があります。
自分がなぜそうしようと思ったのか、どのように解決しようと思ったのかという、思考のプロセスを強調して評価してもらいましょう。
また、面接に進んだ場合、具体的に話せるようなエピソードを用意しておいてください。
他人との違いを意識する
自分の意見や独自性を活かして仕事をした経験について伝えられれば、選考で有効に働きます。
「ほかの人はこのようにしていたが、自分はこう思ったのでこう変えた」という他人と自分が違うことをした場合は強調しましょう。
実績がともなってなくても、その結論に至った思考に合理性があれば、企業は注目してくれます。
特に営業職では、誰かの指示を待つのではなく、自分で考えて動かなければ良い仕事はできませんし、人それぞれ自分の個性に合った営業のやり方を見つけなければなりません。
自分の意思で働けることをアピールしましょう。
また、ほかの人と同じような内容の書類では、企業の興味にもってもらうことは難しいです。
独自性を強調することで「直接会ってみたい」「話を聞いてみたい」と思ってもらえるよう意識して書きましょう。
採用するメリットを強調する
具体的な数字としてアピールできる実績がないのであれば、無理をいてあやふやに実績をアピールしようとする必要はありません。
その代わり、企業が自分を採用することで得られるメリットを強調しましょう。
自分が企業に入社したらどのように貢献できるのか、どう頑張ろうと考えているのか、仕事への熱意を書いてください。
企業が職務経歴書の実績を評価するのは、確実にその応募者が営業の仕事に適性のあることがわかるからです。
実績が書けないのであれば、営業職に必要とされる能力があると伝えましょう。
応募する企業によって、必要とされる能力は変わってきます。
したがって、綿密に企業研究を行い、企業の求める能力と自己の強みがマッチしていることをアピールしましょう。
その強み活かして働く姿が想像できるようにアピールすることが重要です。
【営業実績のない人への職務経歴書】書く際の注意点
転職の場合は特に即戦力を求められることが多いです。
そのため、職務経歴書は人事担当者のみならず、入社をしてから一緒に仕事をすることになる、実際の現場の人も目を通します。
求める仕事ができる人物かどうかに加え「一緒に仕事をしたい人物なのかどうか」も評価の対象です。
職務経歴書には人柄もあらわれるため、マイナスの印象を与えないように注意しなければなりません。
職務経歴書を書くうえでの注意点をしっかりと把握して、より良い職務経歴書を作りましょう。
嘘を書かない
実績がないからといって、架空の実績を作って良く見せようとするのはやめましょう。
たしかに書類に書いただけでは、その嘘を見抜かれる可能性は低いでしょう。
しかし、架空の実績を書いて書類選考を通過したところで、面接を通過しなければ採用には至りません。
面接の際は、必ず職務経歴書の内容にもとづいた話になるでしょう。
企業の面接官は、これまで多くの応募者を見てきているのです。
面接官との会話の中から、つじつまが合わなくなったり、不自然さが感じられたりなどで、嘘は必ずどこかでわかってしまうものです。
嘘をつく人物や見栄を張る人物であると見なされれば、一緒に仕事をしたいと思われることはないでしょう。
「嘘をついてでも入社したい気持ち」は企業には受け入れられないのです。
主観的になりすぎない
職務経歴書では、自分自身のことについて伝えたいあまり、主観的な内容になってしまいがちです。
しかし、主観的な内容は企業側に伝わりにくく、評価が難しくなってしまいます。
特に実績がない場合は、具体的な数字ではなく、自分の思考や熱意を示す内容になります。
そこで、主観的になりすぎないよう注意が必要です。
第三者からの評価や成果など、客観的視点をしっかり取り入れ、具体的でわかりやすい内容にしましょう。
職務経歴書を書くポイントは「その人物に会ってみたい・直接話を聞いてみたい」と思ってもらえるように書くことです。
興味をもってもらうためには、まずは、わかりやすい内容であることが重要です。
企業が欲しい情報となっているか、自分が伝えたい情報ばかりになっていないかにも注意しましょう。
【営業実績がなくても職務履歴書】自己PRの例文
職務経歴書に書くべき営業実績が何もない場合の自己PRの例文を2つ紹介しましょう。
ここで紹介する自己PRは、1つは営業の仕事をするうえでの心掛けや工夫を具体的に行動したことを書いて、説得力を出しています。
転職後も同じように、誠実に働く姿を想像してもらえる内容です。
もう1つは、自分の業務を進める中で、自ら課題を発見し、解決できたことを伝えています。
どちらも主体的に仕事に取り組んできた姿をアピールできています。
工夫をアピールする場合
私が営業で心掛けていたことは、クライアントのニーズを理解することです。
そのためにヒアリング力を強化しました。
まずはクライアントを何度も訪問し、日々どのような考えなのか、どのようなことで困っているのかなど、分析をするよう心掛けておりました。
また、それらをノートにまとめ共通項目があるか考察し、本当のニーズを理解し、最適な営業を行えるようにしたのです。
ただ闇雲に仕事をするのではなく、このような工夫をする力や「クライアントの期待に応えたい」という仕事の熱意で貴社に貢献したいです。
他人との差をアピールする場合
私は、前職では営業事務を主に行っていました。
営業の成績をグラフにしたり、クライアントの情報をまとめたりする仕事でしたが、それだけではどうしても人為的なミスが出てしまいます。
そのため、ミスを減らすためにはどうしたら良いかを考え、自分が行った業務をスプレッドシートにまとめることと、売り上げや納期の管理表を作りました。
その結果、人為的なミスは激減し、業務の効率もアップさせられたのです。
貴社においても、業務に適応するだけでなく、自分がどのように動けばもっとも効率が良いかを考え、業務に励みたいです。
まとめ
企業が中途採用の応募者に求めるものは、即戦力であることは間違いありません。
職務経歴書に書く営業実績は、それを証明できるものです。
書けるものがあれば、書くほうが有利になることは言うまでもないでしょう。
しかし、実績が書けなくても、採用を勝ち取ることは可能です。
企業の求める人物であることを企業に納得させる職務経歴書が書ければ、採用を勝ち取れるのです。
できる限りの良い職務経歴書を作成して、転職を成功させましょう。