はじめに
営業職の経験がある人は、転職のときに有利だといわれています。
売上目標のプレッシャーを日々抱えながら、営業の第一線でクライアントと接してきた経験は、どんな業種・職種に転職しても活かすことができ、大きな強みになるからです。
しかし、自身の営業経験を履歴書や面接で、どのようにアピールしたら良いのかわからない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、営業経験を自己PRに活かすためのコツや、アピールするべきポイントを例文付きでご紹介します。
転職で活かせる営業経験の強み3選
営業経験者が活かせる強みは主に3つあります。
①目標達成意欲
②課題解決能力
③コミュニケーション能力
この3つは営業職に欠かせない能力であることに加え、どの職種でも重宝される能力なので、他業種・他職種への転職を希望している場合でも、ぜひアピールしたいポイントです。
まずはこの3つの強みの中から、転職を希望している業種や職種、そして応募する企業が求めている人材に一番マッチするものはどれなのかを見極め、自己PRの軸を決めましょう。
目標達成意欲
営業職には、売り上げや契約件数といった明確な目標があり、成果を出すことが求められます。
しかし、成果を出すことが大事なのは、営業職に限ったことではありません。
どのような成果を追うのかは職種によって異なりますが、どの職種でも企業の一員である以上「数字を追い、成果を出す」ことは重要です。
営業職は、売り上げや契約件数が企業の業績や評価に直結する、シビアな職種です。
そのきびしい世界で目標に向かって歩んだ経験は、転職市場で高く評価されます。
また、売り上げや契約件数という成果を出すためには、意欲だけではなく「そのための地道な積み重ね」が欠かせないことを企業は知っています。
目標達成への意欲が高い人は、地道な努力や積み重ねができる人としても評価されるのです。
課題解決能力
営業職に携わっていると、顧客の課題やニーズを把握して、適切な解決策を提案するスキルが培われます。
たとえば新規の顧客に提案する際、商品やサービスの良さを熱心に説明するだけでは、契約に結びつけることは難しいでしょう。
大事なのは、その商品やサービスが相手にどのようなメリットをもたらすのかを考え、提案することです。
顧客の課題やニーズを把握して、その解決策として自社の商品やサービスを提案する必要があるのです。
既存顧客への対応でも基本的な考え方は同じであり、契約後のアフターフォローでは、さらに課題解決能力を問われることになります。
営業経験者の転職活動では売る能力だけではなく、顧客志向の課題解決力をアピールすることで、市場価値が高まります。
コミュニケーション能力
営業職には、コミュニケーション能力が欠かせません。
コミュニケーション能力には、人当たりの良さや話題の豊富さに加えて、交渉力や傾聴能力など、さまざまな能力が含まれます。
営業活動では、相手の話をじっくり聞いて課題やニーズを聞き取り、顧客の意向に寄り添いながら、商品やサービス・解決策の提案を行います。
契約後も、定期的にコミュニケーションを取りながら顧客と良い関係を築き、困りごとや新たな課題がないかを聞き取って、その解決策を提案するのです。
この営業活動の一連のフローは、誰でも一朝一夕にこなせるものではありません。
営業経験で培われたコミュニケーション能力は、他業種・他職種に転職するとき、会社内の潤滑油として重宝される傾向があります。
営業経験を自己PRとしてアピールするコツとは
営業経験者の3の強みがわかったら、次はアピールの仕方です。
どんなに強みがあってもアピールの仕方を誤れば、アピールにならないばかりか「営業経験者なのに訴求力やプレゼン能力はいまいち」といったマイナス評価にもつながりかねません。
自己PRは、営業経験者の腕の見せどころでもあるのです。
営業経験をアピールする際の書き方のコツは2つあります。
①数字や実績をアピールする
②試行錯誤した経験を盛り込む
それでは、この2つのコツについて具体的に解説します。
数字や実績をアピールする
数字や実績を具体的に示すことで、自分のスキルや能力をいっそうアピールできます。
商談のプレゼンでも同じですが、数値化・可視化されたものは、格段に説得力が増します。
自分が成果を出した売り上げ・契約件数・達成率・前年対比など、数字を用いて明確に示しましょう。
ただし、数値化を意識するあまりに、数字の羅列になってしまうのはおすすめできません。
あくまでの企業が求めるスキルや人物像を把握したうえで、それにマッチするような自己PRの文面を考え、適宜そこに数字を盛り込みましょう。
また、後輩を育てた経験やチームでプロジェクトを成功させた経験なども、具体的な実績になります。
コミュニケーション能力やチームワークを重視する企業の場合は有効です。
試行錯誤した経験を盛り込む
数字や実績だけでなく過程を示すことで、より説得力が高まります。
成果を出すためにどのような工夫をしたのか、チームの中で自分が担ってきた役割など、実際のエピソードを盛り込むことで、転職後に活躍する姿を想起させられるでしょう。
目標達成や課題解決へのアプローチは人それぞれなので、それを説明することによって、営業経験者だからというだけではなく、自分ならではの個性や強みを強調することもできます。
また、自身が携わってきた営業の内容についても、具体的に示す必要があります。
相手が個人だったのか法人だったのか、新規開拓営業・ルート営業・飛び込み営業など、携わってきた営業のアプローチ手法についても言及すると、相手が想像しやすくなるでしょう。
自己PR例文
営業経験がアピールできる自己PR文を作るときは、営業経験で培ってきたスキルや成果を、数値などで具体的に示すことが大切です。
さらに、その能力や実績を、転職先でどのように活かしていきたいかを明示することが重要になります。
応募する企業側が求めるスキルや人物像を企業研究で見極めて、もっともマッチする部分を積極的にアピールしましょう。
営業経験者の強みである目標達成意欲・課題解決能力・コミュニケーション能力をテーマにした自己PRの例文を紹介します。
「目標達成意欲」の自己PR
まず達成に向けた計画を立て、そこから逆算して1日最低15件という荷電数を設定し、さらに荷電数に対するアポイントの成功率を30%以上にキープできるよう、改善を繰り返しながら訪問数を増やしていきました。
目標を達成するためには、営業スキルの向上やタイムマネジメント能力の向上も不可欠です。
上司や先輩にアドバイスを求めたり、同僚と意見交換を行ったり、社内・社外の研修にも積極的に参加しました。
その結果、部署の目標は1年間連続で達成し、個人としても社内で表彰されたのです。
決して平坦な道程ではありませんでしたが、目標を目標で終わらせず、実現することを意識し続けてきたからこそ成し得た結果だと思っています。
この経験を通して培った、目標達成意識を高くもち、主体的に行動する力は、貴社の業務でも活かせると考えています。
「課題解決能力」の自己PR
ある顧客の商品の売り上げデータを分析すると、リピート率・満足度は共に高い一方で、新規購入の割合が低いという課題が見つかったのです。
そこで「新規流入アップ・離脱防止策の強化により、新規購入を20%向上させる」という目標を設定し、サイトデザインの抜本的な改善を提案しました。
そこで心がけていたのは、その施策が必要な理由を丁寧に伝え、先方のご意向にしっかりと耳を傾けながら、すり合わせを行っていくことです。
提案の末に顧客の同意を得て、外部のデザイナーと連携して、サイトデザインをよりターゲット層に合ったビジュアルに変更しました。
さらには、ポータルサイトへの広告出稿を実施するなど、積極的な広報戦略も展開していった結果、前年比の売り上げ130%を達成しました。
現状を分析し、課題を発見してその解決までのアプローチを考える力は、貴社のサイト運用でも活かせると思います。
「コミュニケーション能力」の自己PR
また各店舗に足を運んで実際に利用し、一消費者の立場から感じたことなどをお伝えし、店舗の業務改善などに活かしてもらうことで、信頼関係を築いていきました。
営業では、一方的にこちらのサービスを提案するのではなく、コミュニケーションを通して信頼関係を構築することが重要だと考えています。
クライアントと密にコミュニケーションを取りながら、先方がまだ意識していない潜在的なニーズも把握したうえで、個別に提案を行いました。
そのときもクライアントと意見交換をしながら、1つの目標に向かって伴走する気持ちで臨みました。
その結果、当初の目標を20%上回る、新規開拓率50%を達成することができたのです。
対話を通してクライアントとの信頼関係を築くという姿勢で、貴社の営業でも顧客獲得に貢献したいと思います。
まとめ
営業職は、センスや才能だけではなく、多様なスキルが求められる職種です。
しかもそれらは、読書や机に向かって学ぶだけでは、なかなか獲得できない能力ばかりです。
営業経験者の3つの強みである、目標達成意欲・課題解決能力・コミュニケーション能力も経験から培われる部分が非常に大きいため、転職の大きな武器になります。
ぜひ自己PRで的確にアピールしてください。
同じ営業職で転職するときはもちろん、他業種・他職種を目指す場合でも重宝されるでしょう。