一年未満で会社を辞めたい第二新卒者必見！早期退職のメリット・デメリット

はじめに

新卒者が現職に在籍する期間が短い状態で退職すると、いわゆる「第二新卒」となります。

就職後一年未満で退職した場合も第二新卒に該当することとなりますが、単純に短期間で退職することに負い目を感じる方も多いでしょう。

そこで今回は、在籍期間が一年未満の企業を辞めたいと考えている、すでに辞めた第二新卒を対象に、早期退職でのリスクや利点、再就職に関する情報をまとめています。

また、一年未満で前職を退職した第二新卒が転職する際のポイントや退職が推奨される状況、一年未満の退職がネガティブ要素にならない職種についても紹介します。

「現職を辞めたいと考えているが、無理してでも在籍期間を伸ばしておいたほうが有利かもしれない」

このように考えている第二新卒の方にとって、少しでも転職の後押しになれば幸いです。

【一年未満での第二新卒者の転職】退職者の割合

そもそも、いわゆる第二新卒と言われる早期退職者はどれぐらいの数がいるのでしょうか。

厚生労働省が公表した「新規学卒就職者の離職状況」によれば、2019年3月に卒業した大学卒業者のうち、就職後1年以内に退職した割合は12.2%、高校卒業者では18.3%に達しています。

さらに、新卒で入社した後、3年以内に転職を考えるいわゆる第二新卒者の比率は約40%に上ります。

一方で、2021年の1年間における20代の転職率は、12%から13%程度であることが同省の調査から明らかになっているのです。

一年未満で退職した第二新卒の割合を把握しておけば、後述する「リスク」や「利点」についての理解も深まりやすいかもしれません。

【一年未満での第二新卒者の転職】主なリスク

第二新卒に限った話ではありませんが、一年未満でのいわゆる「早期退職」には、当然いくつかのリスクが存在します。

ここでは、一年未満で退職し、転職することに関する以下4つのリスクについて解説します。

• 前職でのスキル未習得
• 面接における発言の説得力不足
• 退職理由が感情的になりがち
• 無職期間の長期化による転職の困難さ

前職でのスキル未習得

新たに社会人としてのキャリアをスタートさせた新卒者は、初期の段階では総合的な研修や日々の業務サポートに従事することが一般的な流れです。

この期間を経て、徐々に専門的な業務へと移行することが多いでしょう。

しかしながら、入社から1年以内に退職してしまうと、次の転職の際、面接でアピールできる専門スキルが限られてしまう可能性があります。

早期離職について正当な理由を述べたとしても、その背景にはしばしば早期離職者への偏見が存在し、そのために、持論が説得力を持たないこともあるでしょう。

特に、社会人としての研修や一般的な業務支援のみの経験しかない場合、企業の収益に直接貢献するような専門スキルを持っていないと見なされがちです。

これは、実質的に新卒入社時と同等のスキルセットだと評価されることを意味します。

結果、専門的な社会人スキルを十分にアピールできないことから、転職においての成功率が下がる可能性があるでしょう。

面接における発言の説得力不足

面接の過程では、自己の能力や経験を最大限にアピールし、面接官に強い印象を残すことが求められます。

これには、過去の職歴やその仕事に対する情熱の共有が含まれます。

しかし、前職を一年未満で離職した方が職業観を述べたり、理想的な状況を描いた発言をしたりしただけでは、かえってその発言が説得力を欠くと見なされることがあるでしょう。

結果、面接官に深い影響を与えることが難しく、結果的に採用される可能性が低下する恐れがあります。

退職理由が感情的になりがち

一年未満の在籍で退職する新卒者のほとんどが、職場での人間関係の難しさや過度の残業による体力的な負担、または労働に対する報酬が期待に応えられないことなど、さまざまな理由で退職します。

一般的な退職理由ではあるものの、在籍期間が短い場合においてはこれらが「感情的な退職」とみなされるリスクがあるのです。

転職活動を行う際には、過去の退職理由についての質問は避けられないものであり、回答によっては、次の職場での採用に大きく影響することがあります。

感情に基づく退職理由は、未来に対する深い考慮が欠けていると捉えられがちで、評価の対象外とされることも少なくありません。

また、退職理由を述べる際に、以前の職場に対する不満や不快な思い出を主に語ることは多いですが、これは面接官が期待する回答の本質ではありません。

面接官は、応募者が過去の経験からどのような学びを得て、どのように将来の職務に活かそうとしているかを知りたいのです。

そのため、質問の背後にある意図をじっくりと考え、建設的な回答を心がけることが重要です。

無職期間の長期化による転職の困難さ

在籍している企業がない状態で転職活動を進める状態は、しばしば「無職」とみなされることがあります。

無職期間が続くことで、履歴書における職務経歴の中に空白ができ、説明のつかないギャップが生じる可能性があるのです。

転職期間の空白によって新たな職を見つけることの難易度は増していき、理想の職に就きたいと考えても、その機会が限られてしまうことがあります。

そのため、現在の職場に留まりながら新たな機会を模索することが、無職期間を避け、転職活動におけるスムーズな過渡期を確保するうえで賢明な選択と言えるでしょう。

空白の期間を最小限に抑えつつ、転職活動を効果的に進めるための戦略を立てることが重要です。

【一年未満での第二新卒者の転職】利点もある

一年未満で退職して第二新卒になることはリスクが多いものの、以下に挙げる利点もあります。

• 好条件の職場に勤務できる
• 仕事の選択肢が広がる
• 複数の会社での勤務経験を身につけられる
• 体調・メンタル面を安定させられる

ここでは、一年未満で退職することのメリットとも言えることについて解説するので、リスクと比較して「退職するかどうか」を検討してみてください。

好条件の職場に勤務できる

第二新卒の方は、一度社会人生活を経験しており、短期間であっても一定の期間勤務していることから、自分自身のキャリアに対する考え方や目指すべき職業観が形成され始めています。

この段階での転職活動では、彼らが求める職種や職場の条件について明確なビジョンを持っていることが多く、結果として、新たな職場との間での期待の齟齬が少なくなるでしょう。

このように明確な目標を持って転職活動を行うことは、第二新卒の方々が新卒時に比べて、転職後の職場での定着率を高める一因となるのです。

実際、第二新卒による転職は、新卒入社時の離職率に比べて、著しく低い離職率を示しています。

加えて、既に就職活動の経験があるため、面接や履歴書の作成に関する技術も身についているでしょう。

これらのスキルは、転職活動をより効率的かつ効果的に進めるのに役立ちます。

仕事の選択肢が広がる

転職活動を通じてまた新たな職場で働くことにより、仕事への見方や興味の範囲が拡がることが期待できます。

未知のビジネスモデルや予期せぬ方法で収益を上げている企業に出会うことで、多様な情報に触れる機会を得られるでしょう。

このような恩恵は、長期間同一の企業に勤め続けた場合には、なかなか受けられないものです。

転職を重ねることには、確かに一定のデメリットが伴いますが、異なる企業のビジネスモデルを学ぶという大きなメリットもあります。

現在の職場での仕事に何らかの制限を感じ始めた場合は、新しい機会を求めることを検討しても良いかもしれません。

早期に次のステップへと進むことで、新しい知見や経験を積むことが可能になります。

複数の会社での勤務経験を身につけられる

長年にわたって同じ企業に勤めることは、その企業特有の方法や思考に深く浸透することを意味しますが、柔軟な対応をするうえでの障害となることがあります。

一方で、キャリアの早い段階で異なる企業への転職を経験することにより、多様な環境で働くことができ、結果として柔軟性を維持しやすくなります。

転職を頻繁に行うことがキャリアに悪影響を与える可能性があるものの、適度な回数であれば、多様な経験がキャリアの強化に寄与すると考えられます。

体調・メンタル面を安定させられる

職場の環境や仕事の内容、人間関係や待遇などが自分に合わないと感じる人もいるでしょう。

このような状況で働き続けることは、かえって精神的な負担が大きくなり、健康を害するリスクも伴います。

仕事への意欲が減少し、精神的な不調を感じるようになる場合もあります。

長期間にわたって不適合な環境に留まることは、健康に深刻な影響を及ぼす可能性もゼロではありません。

そのため、早期に職場を離れる決断をすることで、健康上の問題を防ぐことが可能になることもあります。

【一年未満での第二新卒者の転職】転職後の再離職

前職を早期退職し第二新卒になった方が転職する際に覚えておくべきことは「転職した職場を再度退職する可能性」についてです。

第二新卒として入社した転職先を、再び短期間で退職することにはどのようなリスクとメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。

第二新卒として転職した後に再度早期退職するリスク

第二新卒者が転職後に再び早期に退職する場合、しばしば持続力や耐久性の不足とみなされる傾向にあります。

退職までの期間が短いと、このような評価を受けるリスクは高まりがちです。

転職市場では「少しの不満で離職するかもしれない」という懸念が生じることが、どうしても不利にはたらいてしまいます。

多くの企業では、苦手な人物や課題に遭遇することは避けられないため、一定の耐え忍ぶ力は重要とされます。

特に複数回の早期退職歴がある場合、新たな雇用主からは「継続して勤務することが難しい候補者」と見なされがちです。

さらに早期退職には、失業保険を受け取れないリスクも伴います。

自己都合による退職の場合、過去2年間の被保険者期間が合計で12ヶ月以上あることが条件となります。

12ヶ月未満で退職した場合、特定の条件を満たさなければ、失業保険の支給を受けることができません。

これは、転職活動や日常生活に必要な資金を確保する上での課題となります。

そのため、短期間での職場離脱を考える際には、新しい職場が見つかった後に退職するか、失業保険を受け取れるだけの期間勤務を続けることが望ましいでしょう。

第二新卒として転職した後に再度早期退職するメリット

「【一年未満での第二新卒者の転職】利点もある」の項目で紹介した利点は、再離職の際にも実感できるものです。

また、たとえ短期間でも、複数の企業に所属していることがメリットになることも少なくありません。

例えば、短期間でも企業に在籍した経験がある以上、いわゆる基本的なビジネスマナーはある程度身についた状態となっています。

基本的な研修や育成が必要ないのは企業にとって時間やコストの削減といった点で大きなメリットになります。

そのため、複数企業の経験を積んでいることが「効率化」の観点で有利にはたらくことがあるのです。

また、全く異なるジャンルの職種に短期間で就いていたことがあれば、転職先に新たなアイデアを提供できる可能性があります。

既存のビジネスモデルを良い方向に変えるためのアイデアを、前職の経験から生み出せる可能性があるのです。

確かに短期間での退職や再離職は良い目で見られない可能性も否定できません。

しかし、例え短期間でも複数の企業を経験したことが、企業・個人にとって大きなメリットになることもあるでしょう。

【一年未満での第二新卒者の転職】ポイント

前職を一年未満で退職した第二新卒者は、実際に転職する際どういったポイントを意識すべきなのでしょうか。

ここでは、一年未満での転職を成功させるために覚えておきたい、以下のポイントについて解説します。

• 自己分析を行う
• 企業研究を徹底する
• 面接対策を怠らない

自己分析を行う

自己分析の過程では、個人の強みや弱点、これまでの経験、過去の出来事がどのように自身の性格を形成してきたか、そして今後直面するかもしれない課題を洗い出すのがおすすめです。

職業に限らず、個人が得意とする分野を振り返ることも、自己分析のプロセスにおいて重要になります。

自己分析を通じて、何が自分に合わなかったのか、何を本当に求めているのかを明瞭にすることは、転職先で同じ過ちを繰り返さないようにするための重要なステップとなるでしょう。

企業研究を徹底する

転職活動を行う第二新卒にとって、希望する企業についての詳細な調査を実施することは極めて重要です。

企業調査は、企業のビジネスモデル、職場文化、労働条件など、多方面からの情報収集と理解を深める機会になります。

既に一定の社会人経験を有する第二新卒者は、新卒時に比べて異なる視点から企業を評価できるようになります。

これには、ポジティブな側面だけでなく、潜在的な課題点にも目を向けることが含まれ、これが入社後の期待と現実の乖離を減らす助けになるでしょう。

企業研究から得られた洞察は、応募書類や面接時の志望理由や自己紹介の材料として役立ち、志望企業への強い意欲として伝わりやすくなります。

なお、効果的な企業研究を行うためには、企業が注力している分野やコンテンツを確認し、業界誌や新聞などの情報源を活用するのがおすすめです。

また、企業が開発している製品に実際に触れることも、深い理解を得るうえで効果的です。

面接対策を怠らない

面接対策では、学んだことや成長した部分を強調し、それがどのように将来の職場への貢献につながるかを明確にすることが重要です。

キャリアアップのために新しいスキルを習得するなどの前向きな理由を持つこと、チームやプロジェクトへの具体的な貢献方法を示すことが求められます。

また、短期間の退職であっても、その期間に得たスキルや経験を面接の際のアピールポイントとして効果的に活用することが推奨されます。

自己PRの例文

第二新卒の転職活動において、面接時の自己PRをしっかり行うことが大切です。

ここでは、面接時に役立つ自己PRの例文をまとめているので、ぜひ参考にしてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【一年未満での第二新卒者の転職】不利にならない職種

一年未満で転職する際は、過去の早期退職が不利にならない職種にターゲットを絞って転職活動を進めるのがおすすめです。

例えば、以下の職種であれば、前職の在籍期間がそこまで大きな意味を持たない傾向にあります。

• IT・テクノロジー関連
• 営業職
• クリエイティブ職

情報技術およびテクノロジー分野においては、エンジニアやプログラマー等の職種における技術的な能力が特に強調されるため、経験年数はそこまで重視されません。

営業職では、コミュニケーションの技術や積極的な姿勢が高く評価される傾向にあり、そのため短期間の職務経歴が必ずしも不利に影響を与えることは少ないでしょう。

クリエイティブな職業に関しては、個人のポートフォリオやこれまでに達成した成果が評価の中心となり、短期間の勤務であっても顕著な成果を上げている場合には、その実績が高く評価されることがあります。

【一年未満での第二新卒者の転職】退職すべき状況

一年未満の退職がネガティブなイメージにつながるのでは？と考え、退職すべき状況にあるにもかかわらず退職できていない、というケースも少なくありません。

ここでは、たとえ在籍期間が短くなったとしても、退職すべき状況を以下3つの視点から解説します。

• パワハラ
• 仕事内容のミスマッチ
• 人間関係

パワハラ

職場での権力を背景にした嫌がらせ、いわゆるパワーハラスメントは、心身の健康に重大な影響を及ぼす問題です。

このような環境で働く人々にとっては、退職が最も適切な対処法となることがあります。

パワーハラスメントの主な種類は、以下の6つです。

• 身体的攻撃：身体的な害を及ぼす行為（例: 蹴る、殴る、物を投げつける）のこと
• 精神的攻撃：相手の人格を否定する言動や性的指向、性自認に関する侮辱
• 人間関係の断絶：労働者を孤立させる行為（例: 隔離、無視、仲間外し）
• 過度な要求：業務上、不必要または不可能な業務の強制
• 過小な要求：能力や経験に不相応な低レベルの仕事を命じる、あるいは仕事を与えないこと
• 個人の侵害：職場外の監視や個人情報の不適切な扱いなど、私生活への過度な介入

パワーハラスメントを行う者は通常、組織内で上位の立場にあります。

そのため、被害者が上層部に訴え出ても、加害者が自身の立場を利用して報復する可能性もあるでしょう。

組織内の内部告発制度が効果的に機能していない場合、情報の漏洩や告発者に対する不適切な対応への懸念から、パワーハラスメントの事実を訴えることを躊躇してしまうかもしれません。

また、パワーハラスメントを容認する組織文化がある場合、問題を報告しても適切な対応が取られないことや、問題のある上司が留任することがあります。

このような状況では、被害者が状況を一人で変えることは困難であるため、被害を受けている場合には、早期の転職が推奨されます。

仕事内容のミスマッチ

入社してから実際の職務が当初の期待と大きく異なることが判明した場合、その職場での長期的な勤務は難しいと感じることがあります。

例として、求人情報や面接時の説明と実際の業務内容が大幅に異なる状況、または特定の専門知識や技能を活かすことを期待していたにもかかわらず、その機会がほとんど与えられない、あるいは全く異なる種類の仕事を割り当てられることが挙げられます。

さらに、入社前には業務の詳細や負荷の程度が不明で、実際には期待を超える忙しさや責任の重さに直面し、過剰なストレスを感じることもあるでしょう。

加えて、キャリアの成長や挑戦的な業務を望んでいたが、実際には単調な作業が多く、自己成長の機会が限られていることに失望し、これがモチベーションの低下や将来に対する不安、ストレスの原因になるかもしれません。

このような状況下での無理な勤務は健康を害するリスクも伴うため、自分にとってより適した職場環境を求めるための転職を早期に考えることが望ましいでしょう。

人間関係

職場での人間関係が上手くいかないと、日常業務におけるストレスが増大し、仕事の負担が重くなります。

このような環境では、職場内でのいじめが深刻な問題となる可能性もゼロではありません。

例えば、一部の従業員が他の従業員を意図的に孤立させたり、公に過度に失敗を指摘してその人の自尊心を傷つけたりすることがあります。

また、自分に責任がないにも関わらず、失敗や問題を他人から責められるケースや、根拠のない噂を流して誰かの評判を下げるような行為も見られます。

さらに、重要な情報共有から特定の従業員を除外することで業務の進行に支障をきたしたり、合理的な理由なく有給休暇の取得を拒むような行為も、職場でのいじめに該当するでしょう。

これらの行為は従業員の健康に悪影響を及ぼすことがあり、そのような状況にある場合は、自身の健康と将来を守るためにも転職を考えることが賢明な選択となります。

まとめ

今回は、一年未満で早期退職する場合のリスクや利点を、退職率に関する実際の数字も含めた情報を元に解説しました。

早期退職と聞くとネガティブなイメージばかりが先行しますが、個人・企業それぞれにメリットがある可能性も否定できません。

とはいえ、短期間での転職に対して良いイメージを持っていない企業も少なくないので、今回紹介した内容をベースに転職活動の成功率を高めてください。

なお今回は、自己分析や面接対策の重要性、自己PRの例文も紹介しています。

また、短期間でも退職すべき場合についても触れているので、少しでも自身に共通するものがあれば、ぜひ参考にしてください。