はじめに
「ビジネスや経済に関わる仕事ができる」
「若いうちから稼げそう」
というイメージのある金融業界の営業職は人気職種の一つです。
もっとも、きちんと業界の理解はできていますか?
金融業界にも様々な種類があるため、営業全般の特徴と業界ごとの特徴を知っておくことが大切です。
金融の営業職を目指す就活生が知っておきたい金融業界のキホンを解説していきますので、自分に合った職種であるか、目指すとしたらどの業界が良いのかを検討してみましょう。
【金融業界の営業】金融営業の仕事内容
金融業界の営業の仕事と言いますが、実際の新卒募集概要を見ると、総合職とか一般職といった区分での募集が目立つはずです。
実際のところ、それらの総合職や一般職で採用された新卒社員の多くは営業職に配属されます。
金融業界では銀行であれ、証券であれ、保険であれ、まずは顧客や法人との接点を持ち、自社の商品やサービスを売ることから経験する営業研修や営業部門の配属から始まります。
営業は大きくリテールと法人に分かれていますが、業界や企業によって異なるものの、新卒はたいていリテールからスタートします。
そのため、金融業界の就活においては、営業職で何を実現したいかをアピールすることが重要です。
個人営業(リテール部門)
リテール部門とは個人および個人事業主を対象とする事業分野のことです。
一般個人のお客様や富裕層と呼ばれる層のお客様に対し、資産運用や資産の保全、相続・承継対策のための商品販売をすることや銀行であれば、住宅ローンの提案や契約といったビジネスが中心となります。
銀行窓口や相談カウンターで来店した客に対する営業や相談に乗るほか、訪問営業に出るケースも多いです。
銀行では訪問営業のケースが若干減っているところもありますが、顧客から呼ばれれば訪問営業も行われます。
保険会社の場合は顧客の家族構成やライフプランに沿ったコンサルティング営業が主流となっており、顧客訪問が多いです。
証券の場合は店頭、訪問に加え、電話営業のケースも多いです。
法人営業(ホールセール部門)
ホールセール部門は法人顧客向けの営業部門となります。
大企業や中堅企業、自治体、機関投資家などを対象に、資産の調達と運用の両面からサービスを提供する営業部門です。
個人とは異なる法人向けの投資商品や保険商品、事業融資などの提案や相談を受け、契約を取り付ける仕事です。
1契約あたりの金額も大きくなるため、やりがいもありますが、責任感もいっそう高くなります。
リテール部門を経験してから、ホールセール部門に配属されて経験を積む企業も多いですが、総合職として短期に育て上げるために新卒の最初の3ヶ月間で徹底してホールセールをさせ、課せられたノルマを達成するという修行をさせている企業もあります。
【金融業界の営業】金融業界の年収
年収がどの程度なのかを判断基準の1つに挙げる人も多くいます。
個人営業も法人営業も様々な知識や能力を必要とされる仕事ですが、金融業界の営業の年収はどのくらいなのでしょうか。
ここでは金融業界の営業職の平均年収を紹介します。
金融営業の平均年収
金融営業の全年代を含めた平均的な年収は570.3万円と言われています。
正し同じ金融営業でも、金融機関によって平均年収は異なります。
より詳しく金融営業の年収を知るために、金融機関ごとの平均年収を紹介していきます。
金融機関ごとの年収
金融営業の全年代を含めた平均的な年収は570.3万円でしたが、銀行・保険会社・証券会社といった金融機関ではそれぞれ年収が異なります。
まず銀行、労金、信金、信組を総合した、銀行の平均年収は約445万円です。
また生命保険・損害保険などを扱う保険会社の平均年収は約435万、株式の売買などを行う証券会社の平均年収は542.8万円です。
銀行の場合は地方銀行よりもメガバンクや政府系金融機関の方が平均年収が高いケースが多く、また地方銀行の年収についてもその銀行の規模によって異なります。
保険会社の場合は他の金融機関と比べて平均年収は低いですが、インセンティブ制をとっている企業が多い業界であるため、年収は個人の営業成績に左右されることが多いです。
証券会社の場合は他と比べて年収が高いですが、その分高度な営業スキルが必要とされる仕事です。
【金融業界の営業】金融業界にもいろいろある!
金融業界と一言で言っても、さまざまな事業分野があります。
大きく分けると銀行・保険・証券の3業界です。
就活する場合、金融業界3業界を渡り歩いて就活するのではなく、どれか1つの業界に絞り込むのが一般的です。
そのため、金融業界についてまだ詳しくない方は、それぞれの業界の特徴と、営業職の仕事の内容について理解し、自分に適している業界を見つけ出すことが必要になります。
銀行は預貯金や融資に加え、近年は投資信託や保険商品も販売できるなど、業界をまたぐ提案が可能となっています。
保険営業は、生命保険と損害保険とが別業種になるので注意が必要です。株式や債券、投資信託の営業や上場支援などをメインとするのが証券営業です。
銀行業界
銀行のメイン業務は預かる業務(=受信営業)、貸す業務(=与信営業)の2種類です。
これに加えて資産運用や資産管理を請け負うサービスを提供する銀行も増えてきています。
この点、銀行と一言で言っても、いろいろな業態があり、提供しているサービスや主なターゲット層が異なるケースもあるので、自分の興味に合う銀行はどこなのか吟味しなくてはなりません。
都市銀行とも呼ばれ、世界的な知名度もあるメガバンクをはじめ、地域に根差した営業を行う地方銀行、店舗を置かず、営業職も基本的には置かないネット銀行、相続対策などに強い信託銀行、地域の中小企業や働く人を主なターゲットにして地域経済を支える信用金庫や信用組合、農家支援をメイン事業にするJAバンクや漁業者支援をするJFマリンバンクなどもあります。
銀行を目指すにしても、それぞれの業態でビジネスモデルが異なるので、自分が目指す業態を明確にする必要があります。
銀行業界の営業
銀行の営業はお客様との接点となって、個人や法人に対して受信業務と与信業務を行うリテール、ホールセールが中心です。
個人に対しては預金、為替、金融商品サービスの提案、住宅ローンなどの融資が主な営業内容となり、企業に対しては融資や資産運用サービスをはじめ、M&Aサポート業務も手がけています。
証券や保険に比べると、安定志向の人が集まる傾向にあります。
なぜかといえば、証券や保険はニーズを呼び起こすための営業が必要となり、なおかつ、敬遠される顧客も多い業態です。
一方、銀行は預貯金でも融資でも、顧客側からニーズが高く、求められる営業として成果が出しやすい側面もあるからです。
銀行業界の営業職について詳しく知りたい方はこちらの記事もぜひ参考にしてください。
保険業界
保険会社は主に生命保険会社と損害保険会社に分けられます。
それぞれ、生命保険募集人、損害保険代理店といった販売資格を取らないと販売はできません。
生命保険会社が損害保険会社の子会社を作ることや損害保険会社が生命保険会社の子会社を作ることで、それぞれの従業員に両方の資格を取らせて、生命保険、損が保険の両方を販売できるようにしているケースもあります。
また、近年は医療保険や介護保険といった第三分野の保険に力を入れるところ、ネット専業で営業職を置かないところ、少額短期保険業といって保険金額が最大で1,000万円といった少額で保険期間は1年~2年以内といった商品を扱う保険会社も登場しているので、保険会社選びにも注意が必要です。
いずれにしても、保険会社というのは「リスクに備える」サービスを提供する会社です。
営業職は成果主義の業界と言われ、どれだけ成果を残せるかが勝負となります。
保険業界の市場は、日本国内では成熟期を迎えており、新規開拓が難しく、海外事業や外貨に力を入れている企業も増えてきました。
保険業界の営業
保険業界の営業職は個人や法人に対し、自社の保険商品を提案販売するのが主な仕事です。
そもそも法人向け商品しか扱っていない会社、個人向け商品しか扱っていない会社もあれば、企業内でリテール、ホールセールが明確に別れているケースもありますが、個人営業を主流にしつつ、法人営業もするなど両方を手がけている営業職も少なくありません。
また、企業によっては生命保険、損害保険両方が売れるケースもあります。
もっとも、それぞれの販売人資格を取得できないと売れないので、資格が取得できないと営業ができません。
インセンティブによって報酬が左右される傾向の強い業界で、実力次第で若いうちから高収入を狙うことも可能な業界です。
お客さんに安心を届けられるということをやりがいに感じているという声も多く、人と関わるのが好きという人が多い傾向にあります。
保険業界の営業職について詳しく知りたい方はこちらの記事もぜひ参考にしてください。
証券業界
証券業界は、株式や債権(国債や社債など)、投資信託といった有価証券やFXや先物取引などの投機性のある金融商品を個人・法人に向けて売買する会社です。
「資産を運用したい個人や法人の投資家」と「資金が必要な企業や団体・国」とを繋ぐことで得られる手数料が主な収入源です。
近年は資産運用を継続的に支援していくことでサポート料を稼ぐ、ビジネスモデルも創出されてきました。
また、法人部門では法人の株式公開をコンサルティングすることや上場サポートを行う業務などもあります。
ベンチャーキャピタル的な証券会社もあり、私募債の発行を通じて起業を支援しているビジネスモデルも存在しています。
個人投資家に人気となっているネット証券会社の場合には、基本的には個人向けの営業職は置いていません。
電話による受注受付や問い合わせ対応が、顧客との接点になります。
証券業界の営業
証券会社の営業職は、大きく分けて、個人向けのリテール営業と法人向けのホールセールがあります。
リテール営業は個人投資家、ホールセールは民間企業や公的な官公庁などが取引相手となります。
日本では依然として投資より元本保証のある預金のような安全資産が好まれるため、顧客の多くはビジネスや経済に興味がある人です。
富裕層や企業の経営者から資産運用の相談をされる場合や企業の上場支援などに関わる機会もあります。
お金の動きも大きくやりがいがある反面、ビジネスに関する知識を付けて、他業界への転職や起業をしたいと考える人も増えており、離職率が高くなっているのも特徴的です。
証券業界の営業職について詳しく知りたい方はこちらの記事もぜひ参考にしてください。
【金融業界の営業】金融営業のやりがい
相手の考えを汲み取り絶えず、勉強することが必要で、精神的なタフさも求められる金融営業はハードな仕事であるという印象を受ける人も多くいます。
それでは金融営業をする人はどのようなことにやりがいを感じるのでしょうか。
ここからは金融業界の営業のやりがいを4つ紹介していきます。
成果が報酬に直結する
金融業界の営業業務のやりがいの1つ目は成果が報酬が直結することが挙げられます。
金融業界の営業は、成績によってインセンティブを貰えたり業績と連動して給与額が決まったりする企業が多くあります。
自分の努力や成果が目に見える給与という形で表れるため、稼ぎたいという思いが強い人はその点にやりがいを感じることが多いでしょう。
企業への貢献を実感できる
金融業界の営業業務のやりがいの2つ目は、企業の経営サポートへの貢献を実感できることという点です。
法人営業の場合、融資することで企業の経営をサポートすることができます。
自分がこの企業の発展に貢献しているという実感を持てるため、人の役に立つことが好きな人はこの点にやりがいを感じることができます。
顧客の人生をサポートできる
金融業界の営業業務のやりがいの3つ目は、顧客の人生をサポートできるという点です。
個人営業の場合、顧客のライフプランに寄り添った提案をすることによって契約をとることができます。
住宅の購入時には住宅ローン、子供が生まれれば学資ローンといったように顧客の人生に寄り添った営業やサポートができる点にやりがいを感じる人も多くいます。
情報分析が当たったときに嬉しさを感じられる
金融業界の営業業務のやりがいの4つ目は、情報分析が当たったときに嬉しさを感じることができる点です。
特に証券会社では、株式市場や景気の動向などから情報を分析して顧客に提案する場面が多くあります。
自分の情報分析が的中すれば、単純に嬉しく、顧客との信頼関係も厚くなるでしょう。
その点にやりがいを感じる人もいます。
【金融業界の営業】金融営業のきついところ
報酬や情報分析など様々な観点からやりがいを感じられる金融営業の仕事ですが、その分大変なこともあります。
ここからは、金融業界の営業のきついところを2つ紹介します。
多くの書類を管理するしなければならない
金融業界の営業業務のきついところの1つ目は、多くの書類を管理しなければならないという点です。
例えば銀行の法人営業の場合、融資をするにあたって決算書や試算表、事業計画書などといった様々な書類を確認する必要があります。
これらの書類は、融資を受ける企業の事業が利益を出すことができるか、返済能力はあるかを判断する材料になるため、しっかりと確認しなければなりません。
細かい書類をそれぞれ読み込み、分析、把握しなければならない点にきつさを感じる人もいるでしょう。
ノルマなどのプレッシャーがかかる
金融業界の営業業務のきついところの2つ目は、ノルマを求められるなどのプレッシャーがかかるという点です。
どの業界の営業職でも、基本的な仕事は自社の商品やサービスを提案、販売することです。
もちろんすべての企業にノルマがある訳ではありませんが、金融業界の企業はノルマを設けている場合が多いため、成果を求められるという点にプレッシャーを感じる人も多くいます。
また、成績が給与に直結する企業の場合も、成果を上げられないことにきつさを感じることもあるでしょう。
【金融業界の営業】金融営業に求められるスキル
金融業界の営業で身に付くスキルには営業の能力や資産運用の知識などがありました。
それでは金融業界の営業に必要なスキルはどのようなものなのでしょうか。
ここからは、金融業界の営業に必要なスキルを4つ紹介していきます。
情報収集力
金融営業に必要なスキルの1つ目は、情報収集力です。
金融営業は扱う商材の特性もあり、様々な情報を収集することが求められます。
例えば、法人営業の場合はその業界全体の動向や経営状況、個人営業の場合は景気の動向などの情報を収集し、商材や融資の提案する必要があります。
そのため、金融営業にとって情報収集力は欠かせない力であると言えます。
コミュニケーション能力
金融営業に必要なスキルの2つ目は、コミュニケーション能力です。
金融営業では生命保険や住宅ローン、株式などといったお金に関する商材を扱うことがほとんどです。
そのため、顧客との信頼関係の構築がかなり重要になります。
顧客のニーズに合った商材を提案するためにも、常に自分からコミュニケーションを取ろうとする姿勢が求められます。
金融商品に関する専門知識
金融営業に必要なスキルの3つ目は、金融商品に関する専門知識です。
顧客のニーズに合った商品を提案するためには、自社が扱う商品の知識が不可欠です。
例えば、個人営業の場合は資産形成に関する知識、法人営業の場合は経営や財務、事業継承に関する知識が求められます。
判断力
金融営業に必要なスキルの4つ目は、的確に判断する力です。
金融営業は顧客に対しいつ、どの商品を勧めればよいかの適切なタイミングと商品を判断する力が求められます。
例えば証券会社の場合は、為替や株価の動きを注視しながら的確に商品を勧めるタイミングを判断しなければなりません。
【金融業界の営業】金融営業に向いている人の特徴
金融営業には、情報収集力、コミュニケーション能力、金融商品に関する専門知識、的確な判断力といった、様々なスキルが求められます。
それではこの仕事に向いているのはどのような人なのでしょうか。
ここからは、金融営業に向いている人の特徴を3つ紹介します。
- 相手の考えを汲み取つことができる
- 精神的にタフである
- 勉強熱心である
相手の考えを汲み取ることができる
金融営業に向いている人の特徴の1つ目は、相手の考えを汲み取れる人です。
どのような業界の営業でもコミュニケーションスキルは求められますが、金融営業はお金という生活に欠かせない繊細な商品を扱っています。
顧客には様々な人がいるため、こちらが思うようにコミュニケーションを取れない場合もあるでしょう。
そういった場合でも、相手の考えを汲み取って何を求めているのか理解し、営業する必要があるのです。
精神的にタフである
金融業界の営業に向いている人の特徴の2つ目は、精神的にタフな人です。
金融営業にかかわらず、営業という仕事は多かれ少なかれ断られることがあります。
また、融資の可否や額面で折り合いがつかずにきつい言葉を投げられるケースもあるでしょう。
さらに金融営業は競争の激しい仕事でもあるため、すぐに切り替えられる精神的なタフさが必要になります。
勉強熱心である
金融業界の営業に向いている人の特徴の3つ目は、勉強熱心な人です。
金融業界の営業は、金融商品を扱うために必要な証券外務員資格の取得や企業の経営状況を分析できる財務のスキル、保険業界の関連法令など所属する金融機関で必要な知識や資格の勉強をする必要があります。
また、法が改正された場合などはすぐに知識をアップデートし、客の業界の情報や景気の動向などの情報を絶えず集めることが大切なため、勉強熱心な人はこの仕事に向いているでしょう。
【金融業界の営業】営業職への就活を成功させたい就活生へ
金融営業のみならず営業職に就職したいという就活生は多くいます。
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まとめ
金融業界といってもその態様はさまざまで、大きく分けて銀行・保険・証券の3業界があります。
その中にも、証券なら店舗や営業職を置かないネット証券があり、保険業界の場合は損害保険と生命保険に別れ、さらにネット保険や少額短期保険業などの業態も登場しています。
銀行も都市銀行や地方銀行、ネット銀行や信託銀行など多岐にわたり、それぞれ特徴やターゲット客の層に違いがあるので注意が必要です。
営業職も主にリテール、ホールセールに別れ、特徴が異なるため、自分に合った業界の営業職を検討しましょう。