はじめに
広告代理店や企業の広告営業と聞くと、華やかなイメージを思い浮かべる人は多いでしょう。
広告営業はさまざまな業界と関わり、ほかの業種では経験できないようなやりがいを得られると人気のある業種です。
しかし、それと同じくらい「仕事がヘビーである」「帰宅時間が遅い」「体力が無ければやっていけない」というマイナスのイメージを抱いている人が多いことも事実です。
広告営業がきついと認知されているのはどうしてなのでしょうか。
対処法や適性のある人物像とあわせてご紹介します。
広告営業がきつい3つの理由
広告代理店はクライアント企業の広告活動を代理で行い、手数料を収入としています。
広告代理店の営業の主な仕事はクライアントの広告戦略に、マッチした媒体を紹介し、広告の内容を企画し実行することです。
また、自社メディアを持っている会社の広告営業は、自社の媒体に広告を出稿してもらうクライアントの獲得が主な業務です。
どちらも立場は違えど、広告の土台を作る役割だといえます。
業界にいなければわからない、「きつい」と言われる3つの理由をピックアップしたのでご覧ください。
常に時間に追われるから
まず多忙なうえに締め切りが多く、時間に追われていることがあげられます。
広告営業は業務量がとにかく多いです。
クライアントの情報の管理、広告企画の提案、スケジュールや予算の打ち合わせなど多岐にわたる業務を数社にわたって抱えていることも多く、常にスケジュールはぎっしりです。
また出稿媒体やメディアが定めた入稿期限へ間に合わせるため、常に時間に追われています。
クライアントによっては入港期限ぎりぎりにならないと素材が提供されないため、数日徹夜して間に合わせざるを得なかったというのも、珍しい話ではありません。
入稿期限のプレッシャーを抱えながら、多忙を極めるというきびしさは、広告営業のもっとも過酷な面といっても過言ではありません。
クライアントに翻弄されるから
次に、業務の多くがクライアントの都合に委ねられることがあげられます。
クライアントも自社の知名度を上げるために費用をかけて広告を打つため、失敗しないように必死です。
そのため何度もダメ出しをされ、やり直すこともあります。
打ち合わせを重ね完成したプランも、最終決裁者の「これは駄目だ」という鶴の一声ですべて無かったことになるのも珍しいことではありません。
また、担当するクライアントの予算が大きければ、仕事のスケールも大きくなります。
当然仕事は激務になりますし、担当者の求めることが多ければ業務の量も比例して大きくなります。
他の案件を抱えていても、クライアントのGOサインが出なければ進まない仕事も多いです。
そのため、自分の裁量で仕事が思うように進まないことでストレスを感じるという声は、とても多く聞きます。
ノルマがきついから
最後に、きびしいノルマがあげられます。
広告営業に限らず、営業職はノルマを課されるケースがほとんどです。
企業によってはノルマを達成するまで出社させたり、実現不可能なノルマを課したりすることもあります。
あまりにきびしいノルマだと、「業務内容を上司はわかっているのか」と会社への不信感やモチベーションの低下につながることもあるでしょう。
また、ノルマのためのサービス残業や休日出勤を強いられると、心身ともにバランスをくずし、うつ病などになってしまうケースも見られます。
「1ヶ月で100時間以上の残業を強いられたが、みなし残業のため給与が発生しない」という話は、大手でも見られます。
特に求人広告営業は毎週締め切りと数字目標があるため、プレッシャーに弱い人は長く続かないことで有名です。
広告営業は締め切りだけでなく、ノルマとも戦わなければならないのです。
広告営業がきついときの対処法
このように広告営業は、大きなやりがいもありますが、以下のようなきびしい側面もあります。
・多くの業務を並行しなければならない
・クライアントの要望やスケジュールに合わせて動かなければならない
・入稿期限に追われる
・ノルマを達成しなければならない
当然、きついと感じる人がほとんどでしょう。
とてもきびしい仕事ですが、ストレスやプレッシャーとうまく付き合いながら続けている人もたくさんいます。
広告営業のきびしさを乗り切る3つの対処法をお伝えします。
今やるべきことを明確にする
多忙を極めて混乱しているならまず、スケジュールを整理し、無駄な時間を減らす必要があります。
そのためには抱えている案件を見直し、これからやるべきこと、あとで手をつければいいものなど順位をつけましょう。
期限が近いものを優先させて1日のスケジュールを調整すれば、無理の無いスケジュールに組み直せるかもしれません。
また、1人ですべての業務を抱え込まず、忙しいのなら雑務は事務の方に一部をお願いする、先輩や上司にアドバイスを求めるなど、誰かの手を借りるのも悪いことではありません。
業務を次から次に裁いていくのではなく、自分にしかできないもので納期が近いものを見極め、整理しながらこなしていけばゆとりが生まれます。
ストレスを発散する
うまくストレスと付き合っていくには、自分に合った発散方法を見つけるのが一番です。
広告営業は日々クライアントに翻弄されて、数字に追われるため、ストレスを感じないのは不可能に近いです。
ストレスを感じるのは当然のことなので、「つらいと思うのは適性が無いからだ」などと思い込まないようにしましょう。
親しい人と悩みを共有したり、旅行をしたりしてストレスを発散することが大切です。
また、常日頃クライアントや同僚と関わるからこそ、1人の時間を満喫するのも良いリフレッシュ方法となるかもしれません。
美術館や映画館に足を延ばす、サウナで汗を流す、スポーツジムで体を動かすなど自分に合ったストレス発散方法を見つけて、週末にリセットすることで仕事へのモチベーションも回復するでしょう。
営業スキルを向上させる
自分のスキルをアップさせるための向上心をもつのも、仕事を続けていくうえで大切なことです。
ノルマがきついと感じている人は、スケジュールの整理も大切ですが、それ以上に自分の営業スキルを向上させることが必要です。
そのためには営業のセミナーに参加したり、自分よりスキルがある先輩などにアドバイスをしてもらったりするなどして、新たな視点を取り入れるようにしましょう。
また、商談直後にフィードバックするのも非常に効果的です。
商談の新鮮な記憶が残っているうちに、クライアントの反応を振り返り、どのような心理だったかを考察します。
そうすると、自分のプレゼンの反省点や良かった点が浮き彫りになり、今後の課題も明確になります。
スキルアップは1日にしてなりません。
日々の業務に学ぶ姿勢をもって臨んでいきましょう。
転職する
スケジュールの管理やスキルアップのための努力など、自分でできることをしても広告営業がきついと感じる場合は転職するのも1つの手段です。
もしかしたら社風が合わないのかもしれませんし、社内の体制に問題があるのかもしれません。
「体育会系の雰囲気になじめなかった」という声は決して少なくありません。
営業のフィールドでまだ勝負したいのならば、競合他社に転職してキャリアアップするのも良いですし、まったく違う業界の営業職に転向するのも良いでしょう
また、営業で社内外の多くの人と関わり多岐にわたる業務をこなしているために、プレゼン力や分析力やトラブル対処能力などのスキルが身についています。
そのため大手会社の広報や事務職など、別の職種にチャレンジするの1つの方法です。
広告営業に向いていない人の特徴
このように広告営業はやりがいがある反面、体力的にも精神的にもきびしいという面もあります。
それでも仕事に楽しみや目標を見出せているため、自分をブラッシュアップしながら業務に勤しんでいる人はたくさんいるのです。
しかし、やはり仕事には適性が存在します。
適性の無い仕事をしているとやはり伸び悩みますし、モチベーションを保ちづらくなります。
それでは、広告営業に向いていない人とは、具体的にいったいどんな人なのでしょうか。
計画的に行動するのが苦手な人
まず、物事を順序立てて考えられない人には広告営業を続けるのは難しいでしょう。
広告営業の仕事はただ数字を取るだけではありません。
受注したあともクライアントの情報管理や広告企画・提案、実施のスケジュール・予算管理などの役割を担っているのです。
それらの多岐にわたる業務と並行して、新しいクライアントとの取り引きも広げていかなければならないために、優先順位を考えて行動しなければ、残業を何時間しても時間は足りなくなります。
またクライアントだけでなく、マーケティングやプロモーションといった社内の他部署や、制作会社・デザイン会社といった社外の人たちとし協力し合いながら、納期内に納品物を仕上げていくために時間にとてもシビアな一面があります。
思いつきで行動してしまう、1日にたくさんの予定を詰め込むのが苦手な人や、時間にルーズな人は残念ながら適性はありません。
コミュニケーションを取るのが苦手な人
広告営業に限りませんが、コミュニケーション能力の無い人にも広告営業はきびしいかもしれません。
広告営業はクライアントや下請けの協力会社などの関係者を取りまとめ、プロモーション計画を進めていく力が必要とされます。
また、クライアントの要望をくみ取り、どれだけ満たせるかが営業として利益を伸ばす要となるのです。
そのためには、クライアントの話をただ聞くだけではなく、何を求めているのかをうまく聞き出すスキルが必要になります。
そしてクライアントのニーズを社内の人間へ的確に伝え、チームのメンバーと円滑なコミュニケーションをはかるのも、同じくらい大切です。
社内外問わず信頼関係の構築が大切になる広告営業は、元からコミュニケーションを取ることが苦手だと感じている人には向いていないでしょう。
行動が消極的な人
何事にも受け身で消極的な人は、広告営業に適していないでしょう。
広告営業は他社よりも早く商談することがとても大切です。
積極的にアポイントを取れるような人でなく、行動に消極的な人だと成果をあげることは難しいのです。
そして、クライアントと一番近い立場の営業は、クライアントの要望を聞き出し、自分で研究やリサーチをしてニーズに応えられるよう努める必要があります。
そのためには、自ら調査のために足を運んだり、アポイントを取ったりと積極性と行動力を求められます。
また、広告営業は流行に敏感でアンテナを張っていて、世間のニーズを理解していなければ、センスのある提案はできません。
受け身で人に合わせてしまう、という人には難しい職種です。
広告営業から転職しやすい職種
このように、人気の広告営業ですが、以下の理由で転職する人も多いです。
・勤務時間が長く、プライベートを充実させられない
・ノルマや入稿期限に追われる、取引先からの無茶な要望が続くなどで精神的なバランスをくずしそうだ
・広告代理店ではない業界で営業を経験したい
「華やかなイメージを抱いて入社したのに、泥臭い地道な仕事ばかりで性に合わない」と比較的短期で離職する人も少なくありません。
広告営業を経験したら、どのような形でキャリアアップできるのでしょうか。
転職しやすいとされている職種を3つピックアップしました。
同職の営業職
「営業の仕事に楽しさを見出しているけれども、ノルマや入稿期限に追われるのがきつい」という人は、違う業界の営業職に挑戦してみてはどうでしょう。
転職の場合は即戦力になる人材が採用されやすい傾向にあります。
営業のノウハウは扱うモノやサービスが変わっても応用できるため、転職をしたとしても重宝されるでしょう。
現に、営業という職種のまま業界を変えて、新たなスタートを切る人の割合は非常に高いのです。
業界によってはノルマの無いルート営業もあるので、精神的な負担を抱える人は検討しても良いでしょう。
また、資料を抱えての外回りなどに体力的な負担を感じるのならば、テレアポ営業などの遠隔でできる営業に挑戦するのもいいかもしれません。
広告営業として幅広い視野とスキルを養ったのなら、どの業界でも活躍できるでしょう。
Webマーケティング
広告化営業からWebマーケターへの転職も良く見られるパターンです。
Webマーケティングとは、市場や競合他社を調査、分析し、営業戦略を練り、商品が売れる仕組みを作る仕事です。
広告営業は、クライアント、下請けの関連会社、社内の他部署とコミュニケーションを取りながらプロジェクトを進めるため、多方面からのメディアと流通に関する知識をもっています。
さらにクライアントとの会話から、ニーズや傾向などを見出すスキルが養われているため、マーケティングに活かせます。
マーケティングで活躍するには、現場の知識や競合他社の動向について理解が不可欠です。
そのため、新卒では勤めるのが困難とされており、営業からキャリアチェンジする人が非常に多いのです。
人事職
意外に思われる人もいるかもしれませんが、営業職から人事への転職もおすすめできます。
人事と営業の業務内容は大きく異なるように見えますが、人と関わりながら業務を進めていくという点では同じです。
人事は採用や評価を担当する「人事担当」と、給与計算や福利厚生を担当する「労務担当」の2つから成り立っています。
どちらも社内の人間と関わり働きやすい環境を作る、求職者の本音を引き出すなどの営業で養ったコミュニケーション能力を必要とされる場面がたくさんあります。
また、人事は従業員間のトラブルの解決を任されることもありるのです。
その際に、広告営業でさまざまな立場の人と関わりプロジェクトを引っ張ってきた、広い視野と調整能力が活かされるでしょう。
営業と違い成績が数字になることはありませんが、縁の下の力持ちとして会社を引っ張っていく、やりがいのある職種です。
転職するならアゲルキャリア
広告営業で働く未来が見えない、違う業種にチャレンジしたいと思う方はまずは転職エージェントのサイトに登録しましょう。
サイトのフォームで登録して申し込めば、転職の知識豊富なプロのアドバイザーがヒアリングしたうえで、おすすめの求人を紹介します。
アゲルキャリアは20代の営業職に特化した転職エージェントサイトです。
営業だけでなくクリエイティブ職やコンサルティング職など異業種にチャレンジすることも可能です。
30秒で無料登録可能なので、サイトをご覧ください。
まとめ
このように広告営業は、多くの人がイメージするような、華やかなだけの職種ではありません。
地道な作業が続き、ときには多方面の人に頭を下げながら、ひたすら入稿期限と闘うとてもシビアな世界です。
携わったものがCMやWeb広告として残るやりがいはありますが、コミュニケーション力などのスキルだけでなくタフな精神力と体力が無ければ続けていくのは難しいでしょう。
思い切ってほかの業界や職種で新しいスタートを切るのも、スキルアップして広告営業の道を究めるのも自由です。
時間のあるときに自己分析して、自分の適性やキャリアプランともう一度向き合ってみる時間を作ってみてください。
