はじめに
商品の概要だけを暗記して、棒読みしただけではどんな優れた商品でも売れないことがあります。
商談とは挨拶に始まり挨拶で終わりますが、そのプロセスの中で営業マンの力量となるのが「アイスブレイク」です。
顧客との関係の構築を上手に築くため営業パーソンとして必要となる手段です。
アイスブレイクはいわば互いの信頼性を高める話術といえます。
今回は、営業マンなら身につけておきたいアイブレイクの定番ネタをご紹介します。
アイスブレイクとは相手の緊張をほぐす手法
どんな営業マンでもやはり最初は緊張するものでしょう。
しかし、顧客も最初は緊張しながら商談に臨むわけです。
顧客の緊張というのは「高いものを提示されているのではないか」とか「信頼のできるものかどうか」という警戒心も作用している緊張です。
営業パーソンで必要となるアイスブレイクとは、自分は相手にとって敵ではないと理解してもらうことが大きな目的といえます。
警戒心が働いている相手に、自分は敵ではないと示して、相手の緊張をほぐします。
直訳すれば「氷を壊す」という意味ですが、その文字通り顧客の緊張をほぐす手法がアイスブレイクです。
会議や商談で使える
アイスブレイクは、会議や商談の時にも役に立ちます。
会議の時かたい空気になってしまうと、発言がしにくい空気になってしまいます。
発言しやすい雰囲気を作るために、アイスブレイクを会議で活用してみましょう。
また商談の時にもアイスブレイクが有効です。
商談の時アイスブレイクをする理由は、営業の時や会議の時と同じで、より仲良くなり話しやすい雰囲気を作るためです。
会議や商談でアイスブレイクを使うときは営業で使う時と同様に、相手目線で行うようにしましょう。
アイスブレイクってなんで必要?
アイスブレイクは、初対面の者同士がコミュニケーションを取るときに互いに緊張せずに話しやすい雰囲気を作るために必要です。
雑談の1種ですが、営業の場面で雑談は誰もが簡単にできるものではありません。
アイスブレイクの良し悪しで顧客の警戒心が信頼に移行していきます。
そのことで顧客の緊張がほぐれ、打ち合わせを円滑にしてお互いの関係を高められるのです。
相手の緊張をほぐす
アイスブレイクは、初対面の相手の緊張感をほぐすことで可能になります。
コミュニケーションを取りやすくするために必要なのです。
相手の緊張がほぐれることで、互いにギクシャクしがちなコミュニケーションをスムーズにできます。
自分に疑心暗鬼の目を向けている相手の緊張感をほぐし、相手の望むことや希望を引き出せ、より良い商談ができます。
営業において顧客の緊張感をほぐすことは「仲良くなる」というわけではありません。
売り手と買い手の両者は一定の距離感があるのは当たり前です。
信頼を得て、買い手が本心を見せてくれなければ満足してもらえる商品の提供はできません。
相手が初対面でも話しやすい空気感を作る
アイスブレイクには雑談も必要です。
雑談というのは相手が初対面でも話しやすい空気感を作りやすいからです。
話しやすい雰囲気だと緊張感や、高いものを売りつけようとすすめているのではないかという疑惑心も解きほぐせます。
話しやすければ、こうだからこの商品が気になる、予算はこのくらいだなどという具体的な顧客の希望を知ることができ、より希望に合った商品販売・提供につながります。
それは営業パーソンの目標達成の極みです。
最初は何を話してよいかわからないのは当然です。
しかし営業ではアイスブレイクをすることで、顧客と話しやすい雰囲気を作り、その後の商談へとつながりやすくなります。
お互いに会話を続けやすくなる
営業場面で避けたいのは、顧客がただ商品の説明を聞くだけで終わってしまうことです。
営業マンは顧客が話しやすい雰囲気を作ることで、顧客は「聞くだけ」の体制から「聞いて話す」という体制に移行していきます。
顧客と互いにコミュニケーションができる場を作ることが、営業の場面でアイスブレイクの大切な役割なのです。
そのため営業マンは会話のキャッチボールが続くように、返答に対して返しの話術も用意しておかなければなりません。
アイスブレイクでは相手ことを知り相手の目線に立った内容、また話題にしてはいけない内容などを把握しておかなければならないのです。
相手が返答に困る話題では、商談はおろか、その場で会話のキャッチボールはストップしてしまいます。
お客様の関心事を知れる
雑談には、話し手と聞き手それぞれの興味・関心が色濃くあらわれます。
雰囲気を良くするだけでなく、話の内容はもちろん、そのほかにも声色や姿勢で、相手の関心事がうかがえるからです。
商業的な話では、1つのテーマに集中するため「今は話に関係ないから聞くのを控えよう」という聞き手の働きが作用します。
しかし、雑談には「これを話さなければいけない」というルールがありません。
意外なところから、顧客の関心を引き出すことができます。
たとえ話題が逸れたとしても、その逸れた先が顧客の関心事へつながっているかもしれません。
また、雑談を広げると、会話への向き合い方や表情などから、どのようなアプローチが効果的かを予想することもできます。
一番伝えたいことを効果的にアピールするため、広げられそうな雑談は広げ、相手が良い反応を示した話題はしっかりと覚えておきましょう。
長くなりすぎないように注意
ここまで、雑談の重要性を書いてきました。
雑談が広がり、信頼関係が形成されることはとてもうれしいことだと言えます。
ただ、ここで注意していただきたいのは、話のペース配分です。
話が盛り上がったために、本題がないがしろになってしまっては本末転倒です。
会話が広がることは良いことですが、あくまでも商品・情報を売り込むためのアイスブレイクだということを忘れてはいけません。
話が盛り上がってきたときこそ、ペース配分を意識すると、良い流れの中で本題に入りやすくなります。
アイスブレイクで必要な考えは相手目線
アイブレレイクで必要なのは相手目線で内容を考えることです。
実際に何を話してよいかわからずにギクシャクしてしまうのは、営業で最も避けたい場面であり営業マン失格のレッテルを張られても仕方ありません。
アイスブレイクは相手目線で話せる幅広いジャンルの話題の準備が必要です。
仲良くなるためにアイスブレイクをはかるわけではありませんが、初対面の顧客と心を通じ合わせるためには、相手のことを知っておくと上手なアイブレイクを取れるのです。
たとえばどんな地域に住んでいるか、または住んでいたかなどでも構いません。
相手を知る
相手目線で考えるというとは、相手のことを知っていなければなりません。
顧客の住所からその地域の話題や最寄り駅の話題などは、気まずくなることのない無難な話題につなげられます。
情報がない場合は、自己紹介で提示された名刺のデザインを褒めることでも構いません。
相手は疑心暗鬼に近い感覚で自分に視線を向けているわけです。
相手のことを知らなければ、相手が最も嫌だと思っている話題を出してしまうこともあり、そうなれば相手は口を閉ざすばかりです。
相手の警戒心をほぐす
相手目線でアイブレイクをすることは、すなわち相手が自分に抱いている警戒心をほぐすことにもつながります。
どんな場面でも初対面では相手も自分も警戒心をもっているものです。
しかし互いに警戒心を解かねば本音を言い合えません。
警戒心はある程度必要なことでしょう。
ただしマイナスの方向に進まないようにするため、アイスブレイクで相手の警戒心をほぐすことが重要です。
そのために相手目線の話題を考えることが大切になります。
信頼を形成する
相手目線でアイブレイクをすることは、すなわち相手との信頼を形成することにもなります。
どんな場面においても、人から信頼を得るにはまず、相手目線でものを考えることが必要です。
目線が合わなければコミュニケーションはどこまでも平行線で重なることはありません。
どこかで交差する地点がなければ話は先に進みません。
信頼を得て本音を言える関係になることが、アイスブレイクの役目でもありメリットでもあります。
アイスブレイクは最初がベストとは限らない
アイスブレイクを行うタイミングは、最初が一番好ましいわけではありません。
相手が早く仕事の話を済ませたいと考えているのであれば、アイスブレイクは最初に行うのではなく、適切なタイミングを相手を見ながらする必要があります。
またアイスブレイクは全くいらず、めんどくさいと考える人がいます。
この時は相手に合わせて、仕事の話に専念しましょう。
それでも基本的には、話しやすい雰囲気を作るという目的が大きいため、アイスブレイクは最初にするようにしましょう。
定番アイスブレイクのネタ
さて、アイスブレイクの役目やメリットはご理解いただけたことと思いますが、実際にどんなネタでアイスブレイクをしたらよいのでしょうか。
アイスブレイクの成功のコツは「相手が話せるネタかつ話したいネタ」をお題にすることです。
仕事のことのほかに、相手がTwitterやYouTubeなどで情報を発信している場合は、そこでの発信内容をネタにすることはおすすめです。
またアイスブレイクには定番のネタもあります。
定番ネタを13選用意しましたので参考にしてみてください。
相手の仕事に関する話
アイスブレイクで相手の仕事に関するネタは、ある意味相手を褒めるネタにもなります。
たとえば相手の仕事関連の業界に関連するネタは、自分の仕事に興味をもってくれていると感じてもらえるでしょう。
この話題で相手が話したがったり話すきっかけができたりすれば、相手の緊張もほぐれリラックスできる空気が流れます。
どんな人でも自分の仕事を褒められたり、興味をもってもらえたりすると嬉しいものですし、話しやすいものです。
あらかじめ相手の仕事がわかっているのであるなら、相手の企業のプレスリリースや公式サイトなどを確認しておくと話題のネタが広がります。
たとえば会社の所在地などから、周囲の環境の話題をネタにすることもよいでしょう。
「アクセスも羨ましい立地ですね」などという言葉もネタの1例です。
相手が情報発信している内容の話
近年ではSNSが発達し、個人でInstagramやTwitter、YouTubeなどで趣味や仕事の情報発信をしている方が数多くいます。
もちろんこれらはアイスブレイクのネタに見逃せないツールです。
情報発信している内容については、積極的にネタにしていきましょう。
アイスブレイクで必要なことは相手視線で会話をすることですが、相手の趣味などというものは1度や2度の会話では把握しきれないものです。
相手を知る、こんな便利なツールを利用しないのはもったいないといえるでしょう。
近年は会社の基本情報にしても、公式サイトや公式SNSを見れば概要のほとんどを知り得る場合があります。
学歴や所属していたクラブ活動などの記載もある見逃せない情報です。
相手が情報を発信している内容のチェックは怠らないようにしましょう。
地域についての話題
普段、相手が何気なく見ている町の風景に触れることも効果的です。
c住んでいる地域に関しては、興味がある・ない以前の話であるため、相手も答えやすくなります。
特産品やその地域にしかない珍しいものを取り上げてももちろん良いですが、それ以外にも、町にはさまざまな話題が転がっています。
気になるお店を事前にマークして、会話の中で聞くことも1つの手でしょう。
住む町、地域には、その人の考えが反映されています。
地元なのか、引っ越してきたのかでも、町の意味合いは変わってきます。
相手を知るヒントが地域には隠れているので、アンテナを多方向に向けておきましょう。
日ごろからアンテナを高くしておこう
日ごろからアンテナを高くしておきましょう。
常に社会は変化しており、新しいことが常に入ってきます。
営業先の相手に、話を合わせるためにアンテナを高くして、新しい情報を得るようにしましょう。
ここで忘れてはいけないのが、今までの知識を忘れてはいけないということです。
今まで関係を築いてきた相手との関係があったり、昔の話の方が詳しくて話が盛り上がるということがあります。
故に今までの知識を忘れない努力をしましょう。
よく使われる鉄板ネタ
アイスブレイクには誰に使っても差しさわりのない定番のネタがあります。
「木戸に立てかけし衣食住」といって誰もが同じ目線で話せる定番の話題です。
頭文字を取って「キドニタテカケシ衣食住」といわれています。
営業パーソンなら知っておくべきアイスブレブレイクの定番用語です。
キ→季節・気候
ド→道楽・趣味
ニ→ニュース
タ→旅
テ→テレビ
カ→家族
ケ→健康
シ→仕事
衣→衣類(相手の衣服に言及する)
食→食事(好きな食べ物・おすすめのレストランなど)
住→住居(出身地・居住地など)
これらをもとに、たとえば以下のような話題を振るのがおすすめです。
- 「今年は桜の開花が遅れそうですね」/季節編
- 「○○の菊花展は素晴らしと聞くので一度行ってみたいと思います」/道楽・趣味編
- 「私も犬を飼っているのですが○○にドッグランができて人気のようです」/道楽・趣味編
- 「○○地方では土砂災害がひどかったようですがご親戚などはおられませんでしたか」/ニュース編
- 「冬の京都も魅力的ですよね」/旅編
- 「朝の○○番組の星占いは結構当たりますよ」/テレビ編
- 「両親が同居することになり賑やかになりました」/家族編
- 「最近お腹周りが気になりだしたのでジョギングを始めたのですが、何か良いダイエット方法はありませんか」/健康編
- 「疲れやすいのでサプリを飲み始めてのですが何かよいサプリメントはありませんか」/健康編
- 「ご立派な自社ビルで羨ましいです」/仕事編
- 「ブルーのコーディネートがお似合いですが、コーディネートはご自身でなさっておられるのですか」/衣類編
- 「忘年会をこのあたりでしたいのですが、どこかおいしいお店はありませんか」/食事編
- 「私は山形出身で両親がまだ山形におります」/住居編
アイスブレイクで避けるべき話題
定番のアイスブレイクのカテゴリーから紐づけできる話題はいろいろな表現で広がります。
ただ選び方によって、和むはずの話題が逆方向に作用してしまう場合があるので気をつけましょう。
ここからはアイスブレイクで避けるべき話題について解説します。
一般的には支持するものが人によって異なるものは、アイスブレイクの話題には避けることが無難です。
宗教、政治
アイスブレイクで避けるべき話題に宗教や政治のネタがあげられます。
身内以外との会話でも、宗教や政治の話題は取り上げないほうがコミュニケーションをスムーズになるといわれているのと同じです。
宗教や政治の話題は個人の信念や価値観とかかわりが深いため、雑談の一種でもあるアイブレイクのネタには向きません。
宗教の話題はその習慣に精通していなければ簡単に語れる話題ではないのです。
また政治の話題も、支持する事柄や主義主張が人によって大きく異なる可能性があるので、避けるべき話題だと考えられます。
どちらにしても緊張を解く話題にはならないので、宗教や政治のネタは回避することが無難だとされているのです。
芸能ネタ、ブランド、スポーツ
アイスブレイクでは芸能ネタ、ブランド、スポーツの話題も避けるのが無難だとされています。
芸能ネタは興味がある人もいれば芸能人の名前すらわからないという人もいます。
相手が明らかにファンであるとわかっているなら、「○○さん、主演男優賞を獲得されましたよね」などという話題にもなるでしょう。
しかし、人によって芸能ネタは興味の有無のある話題なので初対面のアイスブレイクには向いていません。
ブランドも同じです。
またスポーツもテニス好きの人もいれば、テニスのルールすらわからない人もいます。
テニスの試合のニュースがトピックスに取り上げられていたとしても、スポーツに興味のない人にとっては面白くない話題という可能性もあるのです。
恋愛について
突然の恋愛話は不信感を抱かせてしまうため、初対面では避けるべき話題です。
顧客との仲が深まったことを認識したうえで話題に出しましょう。
もし、今後の家族構成の変更などが営業に関係する場合は、差しさわりのない範囲で確認する程度に留めてください。
また、男性の営業職は要注意です。
女性は男性に比べて警戒心が強い傾向にあるため、注意を払って話しましょう。
恋愛の話は、仲も深まりやすいですが、人を選ぶため、見極めが重要です。
アイスブレイクはあくまでも手段
契約を成功に誘引する一般的な流れは下記のとおりです。
- ラポール:顧客と関係を構築し、コミュニケーションの質を向上させる
- プレゼン:解決策の合意
- クロージング:契約の条件に合意を得て契約の手続きを済ませ契約成立
契約成立の土台となるラポールとは、顧客とのコミュニケーションの質を決める商談の土台となる部分です。
フランス語で「橋を架ける」という意味をもつラポールとは、顧客との関係性を構築することです。
そしてラポールの一部、すなわち顧客との関係構築の取り組みとしてアイスブレイクをします。
- 挨拶を交わす
- 顧客が目的を提示する
- 自己紹介(顧客の情報を得る)
- アイスブレイク(顧客の緊張をほぐす)
- 商談の流れの合意
- 会社や商品の説明
- ヒアリングの合意
アイスブレイクはあくまでも契約成立の土台となるこのラポールの段階の一部です。
アイスブレイクは契約を成功させる段階のその土台となる、関係構築させる取り組みの1つです。
アイスブレイクが不要な場面も
そもそも相手が不要としている場面では、アイスブレイクが足かせになってしまう場合があります。
1つ目は、商品・サービスへの関心が非常に高い場合です。
雑談から入ると、相手は興味がない情報を聞かされている状況になってしまいまい、本題へ入るまでに、商品への興味自体が薄れてしまいます。
相手が商品・サービスについて熱心に聞いてくる、以前から気になっていたなどの動きを見せたときは、すぐに本題に入りましょう。
2つ目は、相手がコミュニケーションを取りたくない場合です。
会話自体が苦手・人と極力喋りたくないという人は一定数いるため、無理に会話をつなげようとしても、相手にストレスを与えてしまいます。
会話をしようとしてもすぐに終わらせてくる、反応が嫌そうだと感じたら、自然な流れで本題に入ることをおすすめします。
相手をよく観察し、アイスブレイクするかどうかを適切に決めることが、営業では肝心なのです。
エージェントを利用しよう
転職を考えている方は、営業転職エージェントを利用しましょう。
登録は無料で、簡単に登録を行うことができます。
専門のアドバイザーが専属で相談に乗ってくれて、ミスマッチを防ぐことができます。
面接もしてもらえて、選考に向けていい準備をすることができます。
このほかにも転職する方に向けの情報が多く掲載されています。
まずは簡単な登録を済ませて、一度確認してみましょう。
まとめ
営業パーソンは提供する商品の内容だけを知っているだけでは務まりません。
昔から力量のある営業マンは、アイスブレイクという手法を巧みに活用して、顧客との信頼関係を築き、商談を成功させてきました。
顧客の情報も知り得ていなければ務められない営業マンですが、自分には話題を提供する才能がないからとあきらめるのはまだ早いでしょう。
まずは定番アイブレイクのネタを身につけて、あなたも才能あふれる営業マンを目指してみてください。