はじめに
これから就活を迎える、またはすでに就活を開始した就活生の皆さん、自己PRについての準備は万全でしょうか?
「自分自身の長所や短所、および過去の経験についてうまくまとめられない」「どうやって自分のことを伝えれば良いのかわからない」とお悩みの方に向け、今回は「自己分析ワークシート」の使い方について詳しくお伝えします。
決まったフォーマットのツールを使うことで効率的に就活を進められるかもしれませんので、ぜひ最後までお読みください。
自己分析ワークシートとは
そもそも自己分析ワークシートとはどういったものなのでしょうか。
端的にいうと、自己分析ワークシートはあらかじめ決められた設問に対して、これまでの自分の経験や感情などを答えていくだけで自己分析が完成する、非常に便利な自己分析作成ツールです。
闇雲に書き進めていくのではなく、複数種類のシートの決められた項目に沿って回答する仕様のため、効率良く分析ができます。
自己分析は就活の第一歩ともいえ、志望動機の作成や志望企業を絞り込んでいく際のベースともなる要素でとても重要です。
自己分析がしっかりできていないと、就活の方向性を定めることができません。
いわゆる「就活の軸」を持つためにも、この自己分析ワークシートをうまく活用してみましょう。
自己分析シートの種類
自己分析ワークシートにはあらかじめ用意された設問を選んでいく選択式のものや書き込み式のものなど、いくつかの種類があります。
目的に応じて使う場面もさまざまですが、今回は特に就活で使い勝手も良くオーソドックスな「自分史」「モチベーショングラフ」「マインドマップ」について一つずつ解説していきます。
それぞれの特徴を把握してうまく組み合わせれば、自分の特徴が可視化でき、効率良く自己分析を行えるようになるかもしれません。
自分史
自分史はこれまでの自分の人生を振り返り、どのような出来事を経験し、どのように感じたかを時系列に書き込んでいくものです。
言い換えれば「自己年表の作成作業」と言えるかもしれません。
幼少期から小学校~中学校~高校~大学、および現在に至るまで、それぞれのフェーズで起こった出来事を思い出し、主要な経験をピックアップしていきます。
そして、その経験が起こった背景や感じたこと、それによって自分がどう成長したのかなどを深掘りしていくことで、現在の自分を構成している要素が明らかになってくるでしょう。
時系列で起きた出来事を思い出し、肉付けしていく方法は特に難しい技術が必要なわけではないため、比較的取り組みやすい種類のワークシートと言えます。
モチベーショングラフ
次にご紹介するモチベーショングラフは、自分がどんな状況になればモチベーション(意欲)が上がるのか、または下がるのかをグラフにまとめるワークシートです。
モチベーションが高い時は自分が思う心地よい環境、反対にモチベーションが低い時は潜在的な嫌悪感を抱いている時期と考えられ、グラフにすることで自分のモチベーションの源泉を俯瞰できます。
感情の共通点を見つけることは企業選びや面接対策にも活かせるため、モチベーショングラフを用いた自己分析は何かと汎用性があると言えるでしょう。
具体的な方法は、まずは過去から現在までの時系列で「楽しかったこと」「辛かったこと」のモチベーションを高低にしてグラフにします。
そして、高いエリアと低いエリアの共通点を洗い出し、それぞれを深掘りして要因を探っていくのです。
マインドマップ
最後はマインドマップです。
マインドマップは思考を可視化するためのもので、自分の頭の中にあるさまざまな考えを蜘蛛の巣状に広げて地図を作り、整理します。
マインドマップを使うことで普段自分が何を考え、どんな価値観にもとづいて行動しているのかがわかります。
やり方は比較的自由度が高く、あるテーマを決めたらそのテーマから連想する言葉やイメージを書き連ねていきましょう。
たとえば「特技」をテーマに定めた場合、「特技」―「スポーツ」―「集団行動」―「リーダー」―「統率力」といった具合に、文章ではなく単語で書き連ねていくのがポイントです。
テーマを徹底的に掘り下げていくことで自分の思考と価値観がだんだんと明確になっていき、マインドマップが完成した頃にはかなりの自己分析が進んでいることでしょう。
自己分析の手順
代表的な自己分析ワークシートをご紹介しました。
もちろんすべてを利用する必要はありません。
それぞれのワークシートの特徴を把握し、まずは使いやすそうなものを選択して取り掛かってみることが大切です。
使い勝手が悪ければ途中でいくらでも変更ができますので、いろいろ試して相性の良いものを見つけましょう。
では、実際の自己分析はどのように行えば良いのでしょうか。
以下、自己分析の手順について具体的に解説していきます。
自己分析ワークシートに書き出す
まずはいくつか紹介した自己分析ワークシートに、これまでにあなたが経験した出来事を思い付くままに書き出していきましょう。
過去から順番にピックアップしていく方が思考を整理しやすいので、古い出来事から遡って時系列にまとめていくことをおすすめします。
時間軸は幼少期から現在までの範囲を目安に、特に思い出に残っている経験や人生の節目で大きな選択をしたことなどを大まかに思い出してみてください。
自分史を作っていつでも確認できるようにしておくと、出来事があった当時は無意識であっても、後から見直してみると新たな共通点が見つかるなど、自分を再発見できることもあります。
就活において自分の強みや価値観の原点を知ることは基本中の基本でもありますので、まずは過去の自分を振り返ることから始めてみましょう。
行動の理由、思考過程を深掘る
過去から現在までの経験を書き出せたら、次は行動の理由、思考過程の深掘りです。
自己分析では過去の出来事をピックアップするだけでは不十分で、その時自分が何を思って行動したか、いわゆる動機を突き詰めていくことが重要です。
「なぜ」を問いかけ続けることで、一つひとつの行動の源泉が見えてくるでしょう。
価値観の軸となるような性格や特徴が見つかるまで、徹底的に深掘りするのがポイントです。
たとえば、中学生の頃にテストで満点を取って褒められた経験があったとしましょう。
その時どう思ったか→嬉しかった→なぜ?→親に頑張ったことをとても褒められた→頑張れば成果が出て自分を肯定してくれる→次のテストも頑張ろうと思って勉強を続けた→人に認められるために努力を惜しまない性格、といった具合です。
共通点を洗い出す
過去の経験を書き出し、行動の深掘りがひと通りできたらそれぞれの行動に共通する理由や思考を見つけていきましょう。
注意深く眺めることで必ず共通点が浮かんできます。
たとえば、これまでに積極的に取り組んできたことがスポーツで、キャプテンに抜擢されることが何度もあった場合、集団の中で他者を取りまとめる能力に秀でているという長所が見出せます。
また、高校、大学への進路について、進むべき方法を決める時は周りの人間の意見を大いに参考にして判断材料にしたといった経験があるとしましょう。
そのような人は、自己主張だけではなく、第三者の意見をうまく取り入れるバランス感覚を持っている性格であるということが窺えます。
企業選びの軸に設定する
ここまでくると、自分の性格、特徴が俯瞰できて体系化されているのではないでしょうか。
整理された自己分析を用いて最後に行うのは、企業選びの軸に設定することです。
これまでの行動理由や思考の根底にあるものが業界や企業選びの軸につながるように、軸が複数ある場合は優先順位も含めて具体化していきましょう。
「自己の利益を惜しんでまで他者のために行動することに喜びを感じる」といった特徴があるとすれば、公共機関や公共色の強い企業を志望する大きな理由になります。
一方、「結果がすべて。自分の努力や頑張りが評価されないとやる気が出ない」といった性格であれば、当然ベンチャー企業が就職先としての選択肢の一つになってくるわけです。
自己分析ワークシートのメリット
何もない白紙の状態でゼロから自己分析を行うのは不安もあり、手探り感が否めません。
自己分析のやり方を調べたり、シートを自分で作成・用意する必要があったりと、それなりの時間もかかるでしょう。
その点、あらかじめ決められたフォーマットに書き込んでいくだけの自己分析ワークシートには、活用メリットがいくつかあります。
その優位性を特に感じるのは「比較的短時間でできる」という点と「振り返るきっかけになる」という点です。
比較的短時間でできる
自己分析ワークシートには、あらかじめ書き出すべき事項がシートにまとめられているので、枠組みから考えてワークシートそのものを作らなければならない外枠の準備作業がまずなくなります。
枠組みを自作するという行為は想定以上に頭も使い時間がかかるものなので、この点が割愛できるのは大いに助かるのではないでしょうか。
「何のために書き出すのか」「何を書けばいいのか」ということを考えずにフォーマットに沿って進めていくだけで、結果的に必要な情報が得られて集約できるのはとても便利です。
そのため、短時間での分析が可能となり、非常に効率良く自己分析が行えるのが自己分析ワークシートを使う大きなメリットの一つと言えるでしょう。
振り返るきっかけになる
そして、自己分析ワークシートを使うもう一つのメリットは、過去の自分を振り返るきっかけになるという点です。
また、振り返った時に情報が整理されて共通点が見つけやすいというのは先述の通りです。
限られた時間の中で就活を行わなければならない就活生の皆さんにとって、ゆっくり過去を振り返っている暇はないかもしれません。
しかし、就活における自己分析は企業選びや面接において最も重要な「就活の軸」となる要素でもあるので、できれば入念に、しかも効率的に行いたいものです。
そのためにもすでにフォーマット化されたワークシートがあるのであれば、より詳細に効率良く自己分析をするためにも活用しない手はありません。
過去を振り返るにも漠然とではなく、目的を持って振り返ることができることでしょう。
自己分析ワークシート活用時の注意点
メリットばかりに目をとらわれがちな自己分析ワークシートですが、このツールを使いさえすればすべてOKというわけではありません。
実際に活用するにあたって、次のような注意点にも意識を向けておくと、自己分析ワークシートを最大限活用できるのではないでしょうか。
一つ目は「書き出しただけで満足してしまうこと」、2つ目は「企業視点でも考えてみること」、そして3つ目は「分析結果を重く受け止めすぎてしまうこと」です。
書き出しただけで満足してしまう
自分史に取り掛かると、無意識のうちに広く浅く過去の出来事を書き出してしまうことがあります。
あれもこれもとピックアップしているうちに、就活の軸とはかけ離れた些細な経験や自分の性格や特徴とは無関係の事象までを取り上げていくケースです。
そのように、際限なく過去を書き出していくと、書き出すこと自体が目的になり、壮大な自分史の完成に達成感や満足感を抱いてしまっても不思議ではありません。
あくまでも過去の経験の洗い出しは書き出すことが目的ではなく、書き出したうえでその経験や行動の源泉を深掘りし、共通点を見つけて自分の特徴を体系的に把握することが大切なのです。
書き出すことは自己分析の第一歩でしかないと理解しましょう。
企業視点でも考えてみる
自己分析から導き出された自分の特徴は、ほぼ主観的といっても過言ではありません。
自分で振り返り、書き出し、深掘りして考えて達した結論なので当然です。
では、自己分析で得られた自分の強みは果たして社会でどう活かせるのでしょう?
具体的には志望する企業の中でどんな貢献ができるのかということです。
「自分はこういう性格です」「自分はこんなことが得意です」などの自己主張を、相手の立場で少し考えてみましょう。
つまり、企業の採用担当者にとってあなたを採用した場合、会社にとってどんなメリットがあるかの視点を持つことです。
自分が採用担当者だとしたらどういった主張であれば納得するのか、ぜひ客観的な意識を持つことも忘れないようにしてください。
分析結果を重く受け止めすぎてしまう
自己分析ワークシートを使う際の見落としがちな注意点として、分析結果を重く受け止めすぎてしまうことが挙げられます。
自己分析ワークシートは効率良くしかも詳細な自己分析ができるよう、工夫されて作られています。
そのため、分析の結果自分でも思っていなかった自己の性格や、あえて意識していなかったけれど嫌悪すべき特徴などが浮き彫りになってくることがあるかもしれません。
目をそむけたくなるようなことが見つかったとしても、あくまでもワークシート状の分析なので、真に受けすぎないことも大切です。
このような便利と思われるツールは最大限活用することが重要で、ツールに支配されることや使うことが就活のマイナスになってしまうことがないように十分注意しましょう。
おわりに
これまで自己分析ワークシートの種類、手順、メリットと注意点について詳しくお伝えしてきました。
自己分析は企業選びや志望動機の基本ともなるとても重要な要素で、就活において最も重視すべき項目の一つと言えます。
自己分析にまだ目途が立っていない就活生の皆さんは、注意点を意識しながら、短時間で効率的に自己分析が行える自己分析ワークシートをぜひ活用してみてはいかがでしょう。
なお、できあがった結果は第三者にも見てもらうことで分析の精度は格段に上がります。