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はじめに
転職面接における質問は、多くの企業もおおよそ同じ内容と言えます。同じ内容ということは、転職志望者の対策をきちんと行ったかどうかで、面接官の印象は大きく異なります。そのため採用に至るためにも必ず聞かれる質問や、よく聞かれる質問に対しては、適切な答えを用意して面接に挑む必要があります。
本記事では面接の流れから、必ず聞かれる質問への対処法などを解説していきます。
面接の質問の答えを考える前に押さえておくべきこと
転職面接の質問は、ほとんどの企業でおおよそ同じですが、ただ質問への回答をするだけではロボットと同じになります。採用に至る必要があるのはあなた自身のため、ただ回答をするだけではなく、答えを考える前に知っておくべきことを押さえておくことで、より良い回答になります。押さえておくことは、以下のようなものです。
・自分の言葉で答えを用意する
・PREP法を意識して答えを考える
・姿勢や話し方にも注意する
・模擬面接を繰り返す
それぞれのポイントについて解説していきます。
面接の流れを知っておく
面接の流れを押さえておくことで、面接時に自分はどこのフェーズにいるのか、次にどんな質問がくるのかを冷静に捉えられます。
転職面接における流れは、以下の通りです。
2 転職・退職理由
3 志望動機
4 自己PR
5 逆質問
ほとんどの企業が上記の通りで進行していきます。面接の心構えとしては、面接官と会話をするイメージが大切です。なぜなら面接官側も、あなたの人となりやコミュニケーションスキルがあるかなどを確認したいと考えているからです。
身構えることなく、最低限のマナーを意識しつつ、普段通りの姿で面接に挑むと良いでしょう。
自分の言葉で答えを用意する
本記事でも次章から、必ず聞かれる質問に対する回答例などを紹介しています。しかし、回答例をそのまま利用することは良くありません。なぜならその回答は、あなたの言葉ではないからです。
自分の言葉で話すためには、自分のこれまで経験してきたことを棚卸ししていくことがおすすめです。たとえば、なぜ志望先の企業を志望したのかには、必ずあなたがその企業を受けたいと思った理由があります。回答例を見ると、素晴らしい回答に見えてしまうため、そのまま利用したくなりますが、あくまでもテンプレートとして活用していくことが大切です。
PREP法を意識して答えを考える
回答は相手に伝わりやすいものであることが重要です。自分はわかりやすいと感じていても、相手にとってはわかりにくいと感じてしまうことはよくあります。
そのため面接の答えを考える際は、「PREP法」を意識することが大切です。PREP法とは、要点(Point)→理由(Reason )→具体例(Example)→要点(Point)の順で構成されている文章のことで、相手に伝わりやすい文章構成の基本とされています。
メリットは最初に話す内容の要点や結論を伝えることで、聞き手がこれからどんな内容を話すかをイメージしやすいことです。また、答えを考える際も「PREP法」に当てはめることで、わかりやすい文章の原型ができやすくなります。
姿勢や話し方にも注意する
回答が優れていても、姿勢や話し方が伴っていなければ印象は悪くなってしまいます。
たとえば回答を丸暗記してきたような話し方です。面接の対策を行い、自分が考えた回答をきちんと伝えなければという思いから、抑揚のない話し方になってしまう場合があります。抑揚のない話し方は、相手に対して熱意や思いが伝わりづらいので注意が必要です。加えて暗記した回答をスラスラ述べたとしても、採用担当者は多くの転職志望者の回答を聞いてきているため、暗記だとすぐに気づき、評価を下げてしまう結果になります。
加えて座る時の姿勢なども背筋を伸ばすなど、改めて意識することで、隙のない面接になります。
人間の印象を決める「メラビアンの法則」では、視覚情報が半分を占めるとされています。つまりあなたの話す内容よりも姿勢などで印象が決まる割合が大きいということです。回答に必死にならず、姿勢や話し方にも目を向けましょう。
模擬面接を繰り返す
面接対策はなんども練習を繰り返すことが大切です。そのためには模擬面接を繰り返して精度を上げていくことが大切です。家族や友人に練習相手になってもらうのはもちろんのこと、姿勢を確認するために鏡に写る自分を見ながら練習するのも効果的です。
模擬面接に最も適しているのが、転職エージェントの活用です。転職エージェントは、数多くの転職志望者の対応を行なってきており、模擬面接の相手も行なってくれます。加えてプロの視点から客観的な評価をしてくれるため、自分の優れていた点や課題点の把握やアドバイスによる改善なども見込めます。
模擬面接を繰り返すことで、話し方や回答に問題はないか、ゆっくりと聞きやすいスピードになっているか、相手の反応を見ながらコミュニケーションが取れているかなどを確認できます。
本番で成果を上げるためにも、できる限りの模擬面接を繰り返しましょう。
面接で必ず聞かれる質問「自己紹介」
実際に面接で必ず聞かれる「自己紹介」の質問例は以下の通りです。
・経歴や実績を交えて自己紹介をお願いします。
・これまでの人生で一番頑張ったことを踏まえて自己紹介をお願いします
・これまでの人生において、もっとも大きな挫折の経験を教えてください
・これまでの業務のなかでもっとも力を入れてきたことは何ですか
・休日はどのように過ごしていますか
あくまでも質問例のため、他の質問の仕方をする場合もあります。しかし回答すべき内容に大きな変化はないため、自己紹介としての回答を考えていくと良いでしょう。
質問の意図
自己紹介の質問には、転職志望者の人柄などを知りたいという意図があります。応募者の経歴などは職務経歴書に記載がありますが、話し方や雰囲気、身だしなみなどは、実際に話を聞いてみないとわからない点です。
加えて話のきっかけを作る「アイスブレイク」の役割も担っています。面接の導入部分として、お互いの第一印象を確認し合うことが目的です。
回答例とポイント
<回答例>
御社につきましても、これまでの営業スタイルである「顧客のニーズに答えるソリューション提案」で貢献できると考えております。本日は、よろしくお願いいたします。
<ポイント>
自己紹介の回答を考える際は「端的にまとめる」「これまでの経験やスキルを伝える」「応募先への意欲を伝える」などを意識すると良いでしょう。
端的にまとめるとは、ダラダラと長く話すのではなく、短くまとめるという意味です。企業によっては、時間を指定してくる場合もありますので、1~3分ほどで行える自己紹介のパターンを複数用意しておくと良いでしょう。
自己紹介の中に、これまでの実績やスキルに触れることで面接官の興味を引くことにもつながるので、こちらも端的に触れると効果的です。そして最後に、なぜ応募先の企業へ応募したのかを添えることで、志望度が伝わり、好印象につながります。
面接で必ず聞かれる質問「転職・退職理由」
転職・退職理由に関わる質問は、以下の通りです。
・なぜ以前の会社を辞められたのですか?
・今回の転職を検討するに至った経緯を教えてください。
・転職を決めた一番の理由は何ですか?
・退職してから期間がありますが、この間は何をされていたのでしょうか?
転職・退職に関わる質問も必ず聞かれます。中には、前職の職場に転職した理由や現在の職場の不満などを聞いてくるケースもあります。手広く対応しようとするとキリがないため、基本を押さえることを重きにおくと良いでしょう。
質問の意図
転職・退職の理由について質問する意図としては、「転職した理由が前向きなものか」「同じ理由で退職してしまうのではないか」「自社との相性は良いか」などを確認するためです。
転職や退職する理由には、転職志望者の仕事への姿勢が見えるため、こうした判断が行いやすくなります。当然ですが、早期退職をしてしまうのではと企業側に思われてしまうと、採用に至るのは難しいでしょう。早期退職は企業側にとっても大きなリスクとなります。
転職志望者が自社で長い期間にわたって活躍する姿を想像させるような回答が求められます。
回答例とポイント
<回答例>
以前の職場は、チームではなく個人での仕事が多かったため、チームとして仕事が行える御社への転職を考えております。
5年間営業職として働いていく中で、個人スキルは非常に高まったと自負しています。しかし単独での業務が多かったため、周囲とのコミュニケーションが行えれば、より顧客のニーズに答えられる提案が行えるのではと考えております。御社では、複数のプロジェクトをチームで行なっており、コミュニケーションを重視して成果を挙げているため、御社への転職を希望しました。
<ポイント>
転職・退職理由の回答を考える際は、ごまかさずにいることが大切です。企業側も前職に何かしらの不満があるから転職活動を行なっていることは理解しています。そのため誠実に回答することを意識しましょう。
回答は具体的かつ論理的に話すことで、転職理由に説得力が増していきます。たとえば不満な点があったが努力を続け、自分のキャリアプランを実現するために転職を希望したなどです。ネガティブな理由であったとしても、前向きな理由にしていくと良いでしょう。
また、不満を撒き散らすような回答を避けるため、絶対に言わないことを決めておくことも大切です。おおっぴらにしてしまうと心象が悪くなってしまうため、節度を持った回答とすることが必要です。
面接で必ず聞かれる質問「志望動機について」
志望動機に関わる質問については、以下のようなものが挙げられます。
・なぜ弊社を志望したのですか?
・同業他社ではなく、弊社を志望する理由を教えてください
・この職種を希望する理由を教えてください
・この業界を希望する理由を教えてください
志望動機は、転職理由と紐付けて回答するケースもあります。企業側は志望度合いが高い転職志望者に来てほしいと考えているため、時間をかけて納得できる回答を考えましょう。
質問の意図
志望動機の質問の意図としては、「志望動機から自社で長く活躍してもらえるか」「自社についての企業研究を入念に行なっているか」が挙げられます。
前章でも解説しましたが、企業は長く活躍してもらえる人材に入社してほしいと思っています。志望動機の真剣さが伝われば、企業側に前向きに捉えてもらえます。また、企業研究が深いかどうかもポイントです。表面をなぞったような企業研究だと、印象が悪くなってしまうので、隅々まで企業研究を行い、回答に落とし込みましょう。
回答例とポイント
<回答例>
御社は、施工管理の業者の中でもSNSを活用したマーケティング手法に特化しているのが特徴です。現代においてSNSの影響力は非常に大きいと感じており、販促力の面から効果的な活用が重要だと考えています。前職では、SNSの活用と顧客ニーズの把握などの業務をマーケティング部門で行なってきたため、経験とスキルを活かして御社のSNSマーケティングをより加速したいと考え志望しました。
<ポイント>
各企業にはそれぞれ特徴があります。そのためなぜ、応募先の企業であるべきかをきちんと伝えることが大切です。なぜに対しての回答がない、他の企業でもできるのではと感じられてしまうと、採用に至るのは難しくなってしまいます。
きちんとした回答をするためには、企業研究を深掘りしていくことが求められます。新聞やインターネット、SNSや実際に企業に訪問してみるなど、あらゆる方法から情報収集を行い、回答に活かしていくことが大切です。加えて志望理由が、これまでの自分の経験やスキルに活かせるようにすると、採用担当者もイメージがしやすく、説得力のある理由になります。
面接で必ず聞かれる質問「自己PRについて」
自己PRに関する質問については、以下のようなものが挙げられます。
・あなたの業務上の強みを教えてください。
・今までのキャリアで印象に残っているエピソードを教えてください。
・あなたは周囲の方からどのような人だと言われていますか?
・あなたが働くうえで大切にしていることは何でしょうか?
必ずしも自己PRをしてくださいとは言われません。相手の質問を汲み取り、自分の熱意をアピールすることが求められます。
質問の意図
自己PRには、自社が期待する成果を出してくれる人材かどうかを見極める意図があります。これまでの質問だけでは掴みきれない経験やスキル、熱意などを伝えることで、採用担当者に自身の価値を判断してもらいます。
職務経歴書などにも自己PR欄がありますが、記載したエピソードを掘り下げて伝える、書ききれなかった成果を具体的に伝えるなど工夫すると良いでしょう。
回答例とポイント
<回答例>
<ポイント>
自分自身をアピールするためには、どのようなことを行なってきたかの行動を具体的に示すことが必要です。前職で達成した事柄があれば、どのような課題があり、どのように解決したのかを示すと良いでしょう。その際は数値などを用いるとより、効果的になります。
なお、自己PRを行う際には募集職種に適した実績やスキルなどで答えると、採用担当者も入社後のイメージがしやすいので、企業研究が活きてきます。
面接で必ず聞かれる質問「逆質問について」
逆質問に関する質問は、以下のようなものが挙げられます。
最後に質問があればお願いします。
逆質問はいくつかのパターンを用意しておき、面接の流れや雰囲気などから聞きたい事項を選択するのがベストです。
質問の意図
逆質問には、転職志望者の入社の度合いがどれくらいか、考え方など企業と転職志望者がミスマッチしていないかなどを確認する意図があります。志望度合いが高いと、より具体性を持った質問がされますが、質問などがないと志望度合いが低いと判断されることがほとんどです。つまり入社後に働いているイメージが、あるかどうかを確認しています。
回答例とポイント
<回答例>
・一緒に働くメンバーには、どのような年齢やキャリアの人がいますか?
・入社後に担当する案件はどのようなものが考えられますか?
・御社が今後、力を入れていきたい事業領域はどこになりますか?
・新聞には〇〇業界の予測が、〇〇という方向に動いていくと予想されていますが、御社はどのような方針で動いていく予定ですか?
<ポイント>
逆質問を聞かれた際には、必ず質問をするようにしましょう。質問がないと、これまでの面接の流れが良かったとしても、志望度合いが低いと判断されてしまう可能性があります。
企業研究や業界研究で疑問に思ったことなどを素直にぶつけてみるのも一つの方法です。
なお、逆質問はどんな質問でもすれば良いのではありません。調べたらわかることや、待遇や福利厚生、勤務条件などは避けるのが無難です。あくまでも業務内容に関わることや、業界動向に関わることに絞ることで、質問の内容も決まっていきます。
面接でよく聞かれる質問と回答例
本章では、面接でよく聞かれる質問についての回答例を紹介していきます。
繰り返しになりますが、あくまでも回答例なので、回答を作る際の参考にして自分自身の言葉で落とし込むようにしてください。よく聞かれる質問は以下の通りです。
・キャリアプランについて
・雇用条件・勤務条件について
・事業内容・経営理念について
・時事問題について
質問例「長所と短所について」
<回答例>
御社においても、継続力という長所を活かして精進したい所存です。
私の短所は慎重過ぎる点です。なんども本当に問題がないかを逐一チェックしなければ、心配になってしまう性格のため、慎重に業務を進められる反面、スピード感がないのが欠点でした。
この短所に向き合うために、私はチェック表を作り、何をどのようにチェックしたかのメモを残すことで、なんども確認する癖を改善してきています。今後は慎重さはそのままに、より効率的な業務を進められるようにしたいと考えております。
質問例「キャリアプランについて」
<回答例>
そして身に付けたスキルや得た経験を新たな新製品開発に活かしていくことで、御社へ長期的に貢献したいと考えています。また、個人としてのスキルアップに加えて、所属する部署や関連事業全体の成果を上げるためのマネジメント業務にも取り組みたいです。
質問例「雇用条件・勤務条件について」
雇用条件については、残業時間などが確認されます。勤務条件は全国転勤を行なっている企業であれば、エリアや地域などの確認をされることがあります。
<回答例>
転勤については日本全国のどこにでも可能ですが、これまで首都圏を中心としたエリアで働いていたため、新たなエリアの開拓も考えています。
質問例「事業内容・経営理念について」
<回答例>
必要な時に必要なものを届けるには道路は不可欠です。私もたくさんの地域を結び、必要な時に必要なものを日本のどこにいても届けられる道路を作りたいと考えています。
質問例「時事問題について」
<回答例>
今後はより生産性を上げるためのツールなどが必要になるのではないかと考えています。
面接で答えにくい質問への回答例
面接の中では答えにくい質問が出てくるケースも少なくありません。
具体的には、以下の3つの質問が挙げられます。
・職場でストレスを感じる瞬間はどんな時ですか
・プライベートで力を入れているものは何ですか
それぞれの質問の回答例を解説していきます。大切なことは、いずれの質問も焦らずに誠実な回答をすることです。
質問例「他に受けている企業はありますか」
<回答例>
他にも受けている企業はあります。しかし受けている企業の中で御社が最も志望度が高いため、内定をいただいた際には最優先にさせていただきたいと考えています。
質問例「職場でストレスを感じる瞬間はどんなものですか」
<回答例>
反省から日々の振り返りで進捗状況を確認するミーティングを短時間で行い、グループチャットを活用してリアルタイムで情報共有を心がけるなどの改善を行いました。結果として、進捗状況も改善し、無事にプロジェクトを完了することができました。
御社でも常にコミュニケーションを取り、ストレスのない仕事環境を作っていきたいと考えています。
プライベートで力を入れているものはなんですか
<回答例>
旅からトラブルは起きるものだと学んでいるため、業務においてもトラブルが起きた際は、冷静に状況を把握し、対応することができています。
まとめ
転職面接における流れはある程度決まっています。事前に流れを知り、どのような質問がくるかを対策しておくこと、リラックスして面接に挑めます。
しかし、回答をスラスラ答える必要はありません。ゆっくりと焦らずに自分の言葉で伝えることが大切です。話し方や姿勢などにも目を向け、模擬面接を繰り返し、自信を深めていくのが良いでしょう。
面接の回答に絶対的な答えはありません。面接官に好印象を持ってもらうためには、どのような回答が適切か、自分の言葉でどのように伝えるかを考えながら、一つ一つの質問への回答を作ってみてください。