ビルメンテナンスはなぜきつい？きついと言われる理由や向いている人の特徴を詳しく解説

ビルや一般住居、商業施設などにおいて設備管理業務や清掃管理業務を任されているのが、ビルメンテナンスという仕事です。

仕事である以上大変なことも多く、ビルメンテナンスとして働いている人の中には、きついと感じて転職を考えていることも多いのではないでしょうか。

実際、ビルメンテナンスは勤務時間が不規則だったり仕事中汚れることが多かったりときつい部分があることも事実です。

しかしきついと感じるのは自分だけではないか、甘えなのではないのかと考えて、なかなか転職に踏み切れない人もいるでしょう。

そのためまずは、ビルメンテナンスがきついと言われる理由について知り、転職するかどうかの判断をしてみることが大切です。

今回は、ビルメンテナンスがきついと言われる理由について詳しく解説します。

ビルメンテナンスが向いている人の特徴や転職する際のポイントについても触れていくので、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

【ビルメンテナンスはきつい】ビルメンテナンスがきついと言われる理由は7つ

ビルメンテナンスがきついと言われる理由は、大きく分けて次の7つがあります。

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

勤務時間が不規則

ビルメンテナンスの勤務時間は、非常に不規則です。

土日祝を休日とする会社員の場合は、朝出勤して夕方ごろに帰宅するというのが一般的ですが、ビルメンテナンスは早番、遅番、夜勤の3種類に分けられています。

遅番は13時から22時ごろ、夜勤なら17時から翌日の9時ごろまで働くこともあるのが特徴です。

正社員であればなおさら時間の融通が効きづらく、人手が足りないときは遅番のあと翌日は早番という組み方をされることもあります。

十分な睡眠時間を確保できないまま、すぐに出勤時間を迎えてしまうという可能勢もゼロではありません。

また決められたシフト時間であっても、工事の立ち合いや点検などが入れば、急きょ出社をしなければならないときもあります。

イレギュラーな時間の勤務が続くと体調を崩すこともあるので、体力がない人は働き続けるのが大変な仕事だと言えるでしょう。

業務範囲が広く覚えることが多い

ビルメンテナンスは、業務範囲が広く覚えることが多いというきつさもあります。

建築構造の理解や室内環境の整備、廃棄物の処理方法など、覚えることが数多くあり、初めのうちは慣れないことだらけです。

大きなビルを任されて管理するものが多いときは、電気設備のほか冷凍・冷却設備、空気調和設備、誘導・避難設備などについても、使用方法などを理解しておかなければなりません。

長いこと働いていると、やがて覚えていけるようになりますが、入社して間もないときはきついと感じることが多いでしょう。

仕事中汚れることが多い

担当する設備によって異なりますが、ビルメンテナンスは汚れることが多い仕事です。

室内環境の整備には、トイレ清掃や故障した空調機の修理などが含まれています。

担当する施設が異なれば、業務範囲外とも思えるような清掃業務を任されることもあり、清掃範囲が広がることもあるでしょう。

汚れる仕事に抵抗を感じている人は、ビルメンテナンスとして仕事し続けるのは難しいかもしれません。

人々が利用する施設の環境を清潔に保つのも、ビルメンテナンスの大切な業務の一つなのです。

待遇にばらつきがある

ビルメンテナンスは待遇にばらつきがあり、条件の悪い企業で働いている人からすれば不満を感じやすい仕事だと言えるでしょう。

特に実務経験の浅いうちは、十分な収入を得られない可能性があります。

残念ながらビルメンテナンスに必要な資格を持っていたとしても、年収200万円から250万円代で求人を出す企業も少なからずあります。

待遇が良くなければ仕事に対するモチベーションも上がらず、悪循環に陥ってしまうことも多々あるでしょう。

待遇の悪さできついと感じている場合は、福利厚生が整っている、給与が高いといった雇用条件の良い職場で働くことで、悩みが解消されることもあります。

トラブル対応が多い

ビルメンテナンスはルーチンワークが一般的ですが、急なトラブル対応に追われることもよくある仕事です。

特にホテルや旅館、病院などは24時間稼働しているため、時間に関係なく設備にトラブルが生じる可能性があります。

特に病院の設備管理であれば、患者さんの命を預かる現場であることから、スピーディーな対応を求められることもあるでしょう。

急を要する案件のときは時間に関係なく連絡が入り、休日出勤を強いられることもよくある仕事です。

イレギュラーな対応の多さがプレッシャーになってしまい、きついと感じている人が大勢います。

人間関係に悩まされることがある

ビルメンテナンスは、人間関係に悩まされる可能性もゼロではありません。

なぜなら夜勤は一人で任されることが少なく、同僚や上司と長時間一緒に働かなければならないからです。

つまり一緒に仕事をする人が苦手な相手だった場合は、精神的な苦痛を感じてしまうことがあるかもしれません。

ビル設備に関して問題がないときは待機時間が発生することもあるので、苦手な相手ともコミュニケーションをとらなければいけないことがあります。

「個人業務が中心だろうから黙々と設備の管理をすれば良い」と思って入社してしまうと、人間関係が悪かったときに、居心地の悪さを感じることもあるでしょう。

そのためビルメンテナンスでは、ある程度のコミュニケーションも必要です。

ただし人間関係の悩みについては、企業が設置している相談窓口があれば、相談して解決することもあります。

資格の取得を求められる

ビルメンテナンスは、他の仕事以上に資格を求められることが多い仕事です。

専門的知識を有した証明となる資格は必須とも言われるほどで、実際に面接でも資格の有無については聞かれることがあります。

資格を持っていれば給与アップも期待できるので取得する価値はありますが、その道のりは実に大変なものです。

プライベートな時間を使って勉強をしなければならないこともあり、仕事がきついと感じてしまう人もいます。

詳しくは後述しますが、企業から資格取得を求められるのは「ビルメン4点セット」と「ビルメンの三種の神器」と呼ばれる2つのものがあります。

これらの資格を持っていれば業務の幅が広がり、待遇の良いビルメンテナンスの仕事に就くことも可能です。

しかし資格に興味・関心のない人にとっては、取得を促されることに苦痛を感じている人も少なからずいます。

【ビルメンテナンスはきつい】ビルメンテナンスで特に忙しい施設

ビルメンテナンスは、さまざまな施設の設備管理を任されます。

この章では、特に仕事がきついと言われることの多い以下4つの施設について詳しく見ていきましょう。

ホテル

一般的にホテルは、激務な施設の代表格として知られています。

ホテルのような宿泊施設では、客室の設備管理を任されることが多いので、さまざまなお客様と関わることもあるからです。

設備に関して不備があれば、お客様からクレームを受けてしまうこともあり、精神的な負担となってしまうことがあります。

またお客様がチェックインするまでに、一通り客室の設備を点検しなければいけないという点でも、きついと感じることが多いでしょう。

そしてホテルは24時間稼働しているため勤務時間が不規則になりがちで、タフな人でないと務まらない部分もあります。

さらにフィットネスセンターやサウナなどを設置しているホテルでは、客室以外にも目を配り管理していかなければなりません。

商業施設

大型の商業施設も、ビルメンテナンスが扱うものとしては激務です。

設備管理は館が閉まったあとに巡回することがあり、他の施設よりも夜勤の業務量が膨大になります。

またテナントが入れ替わるタイミングで工事が発生するときは、連日勤務になることもあるでしょう。

そして商業施設では、週末に大きなイベントも頻繁にあります。

日常業務に加えて、安心・安全を配慮しながらの設備管理が必須となり、日々プレッシャーとの戦いとも言えるでしょう。

さらに何か施設内でトラブルがあった際は、利用客だけでなく、商業施設を管理する事務局からもクレームが入ることがあり、精神的な負担が大きい仕事です。

病院

病院は年中休まず24時間稼働しているので、当然ビルメンテナンスもそれに合わせて夜勤をしなければいけないことが多々あります。

患者さんの安全と健康を最優先にしているため、安定して電力を供給しなければならず、慎重に仕事を進めていかなければなりません。

そしてトラブルが発生したときには迅速に対応しなければならない点も、病院でビルメンテナンスをする人の大変な部分でしょう。

また手が回らない医療従事者の代わりに雑務を引き受けることも往々にしてあります。

工場

工場は夜間作業は他に比べると少ないですが、敷地面積が広く取り扱う設備の多い施設です。

それぞれの設備に関する知識が必須であり、点検が甘いと最悪の場合、製造ラインが停止してトラブルが発生するおそれもあります。

細心の注意を払う必要があり、常に緊張感のある現場の中で、仕事を進めていかなければなりません。

工場は求められる能力は高く責任感の大きい施設ですが、その分年収については期待できます。

【ビルメンテナンスはきつい】ビルメンテナンスの良い部分

ビルメンテナンスのきつい理由を中心にお話していますが、良い部分はどのようなものがあるのでしょうか。

次に下記の順で、ビルメンテナンスの良い部分についても見ていきましょう。

残業が少ない

ビルメンテナンスの勤務時間は不規則ですが、残業が少ないので緊急時以外は定時にきっちり帰れることの多い仕事です。

状況によっては休日出勤が発生することもありますが、基本的にシフトで固定された勤務時間が変動することはありません。

仕事とプライベートの時間のどちらも大切にしたいという人なら、ビルメンテナンスの働き方は理想的だと言えるでしょう。

年間休日が多い

働きやすい環境を整えている企業では、夜勤のあとには明け休みが設けられていることもあります。

年間休日にプラスされる形で、150日から170日程度の休みを取ることも可能です。

またシフト制であることから、平日に休めることが多いので、普段は通いづらい役所に行ったり病院に行ったりもしやすいのは大きなメリットでしょう。

プライベートの時間をしっかりと確保したい人は、ビルメンテナンスがおすすめです。

安定感がある

ビルメンテナンスは世の中に施設がある以上、需要が尽きることはなく、非常に安定感のある仕事です。

年収については企業規模によって異なりますが、景気の影響を受けないという特徴があるので安定した収入が確保できます。

ビルメンテナンスはきつい部分もありながら、安心して働ける仕事だと言えるでしょう。

待機時間が多い

ビルメンテナンスでは、待機時間が多く発生します。

待機時間とは、ルーチンワークである設備の日常検針と月度ごとに実施する点検をしたあとに余る時間のことです。

ビルメンテナンスで働いている人からは「少し暇な時間ができて働きやすい」という声もあります。

また現場から現場へ移動する際は、ビルの図面を確認したり報告書のチェックをしたりと時間を有効活用できます。

緊急時以外は、少なくても1時間以上の待機時間が発生するので、全く待機時間がないという場合はブラック企業である可能性があります。

資格を取れば手当がつく

ビルメンテナンスの場合、資格を取得して専門知識を身につけていけば手当がつきます。

取得までの道のりは大変ですが、高い評価が得られるだけでなく大きな収入も期待できるので、モチベーションを高めながら仕事ができます。

また資格以外にも、ビルメンテナンスの場合は深夜割増賃金と一緒に手当がつくこともあります。

【ビルメンテナンスはきつい】向いている人の特徴

ビルメンテナンスが向いている人の特徴は、次のとおりです。

それぞれの特徴について順に見ていきましょう。

ワークライフバランス重視の人

ワークライフバランスを重視して働きたいという人は、ビルメンテナンスの働き方が向いていると言えるでしょう。

なぜならビルメンテナンスは、時間的に不規則な勤務はあるものの、残業がほとんどなく休日数が十分に確保できるからです。

ワークライフバランスが取れることによって、メンタル面に良い影響を与え、いきいきと働き続けることができるでしょう。

仕事とプライベートの時間をきっちりと分けたいという人は、ビルメンテナンスがおすすめです。

資格取得が苦にならない人

資格取得が苦にならない人なら、ビルメンテナンスとして働き続けても良いでしょう。

ビルメンテナンスとして働くと、必ずと言って良いほど資格の有無について確認され、持っていない場合は企業から取得を促されます。

「むしろ資格を早く取得してスキルアップしたい」という強い気持ちを持つ人なら、モチベーションを維持しながら働くことができるでしょう。

働きながらの資格取得は大変ですが、やる気が出る人なら楽しく働けるでしょう。

ルーチンワークが好きな人

ルーチンワークが好きな人は、ビルメンテナンスが向いています。

ビルメンテナンスは、毎日・毎月決められたことを黙々とこなしていく仕事だからです。

例えばビルの巡回や設備の定期点検、清掃業務などがあります。

ノルマが決められているわけではないので、緊急時やトラブル時以外はプレッシャーを感じることなく、毎日コツコツと業務に打ち込めます。

逆に毎日代わり映えした仕事がしたいという人は、ビルメンテナンスで働くと苦痛に感じることがあるかもしれません。

【ビルメンテナンスがきつい】向いていないと感じたら転職も一つの選択肢

ビルメンテナンスの良い部分を読んだ上で、それでもきつい、向いていないと感じた場合は、もちろん転職することも一つの選択肢です。

きついと思う仕事を続けていては身体的にも精神的にも悪影響で、そのまま働き続けていると体を壊してしまう可能性もあります。

自分が本当に向いていると思えるような仕事を見つけることで、よりモチベーション高く仕事を続けることができるでしょう。

ビルメンテナンスは専門的な知識やスキルが身につく仕事です。

働いた経験を活かして、別の転職先で今以上に活躍することができることだってできるかもしれません。

【ビルメンテナンスがきつい】おすすめの転職先

ビルメンテナンスからの転職でおすすめの転職先は、次の2つです。

それぞれビルメンテナンスの経験が活かせる仕事なので、これから転職を考えている人はぜひ参考にしてみてください。

電気工事士

一つ目が電気工事士で、第二種電気工事士の資格があれば転職ができます。

電気工事士は、ビルや一般住宅、商業施設などにおいて欠かせない電気の工事をする人々です。

年収は高いと500万円前後が相場で、転職できればビルメンテナンスから大きく年収アップが期待できます。

時に激務なこともありますが、常に需要の絶えない仕事で安定感があり、経験を積んでいくことで、やがて独立や起業もできるようになります。

電気保安協会

二つ目が電気保安協会で、電気主任技術者の資格があり、実務経験がある人なら誰でも転職ができます。

電気保安協会は電気設備の点検や検査、顧客に対して電気に関するサポートを行っている協会です。

正社員に昇給があり、基本給と各種手当に加えて年に2回のボーナスが支給されます。

未経験者では転職が難しいので、ビルメンテナンスとして数年働いてきた人こそ、チャレンジできる仕事の一つです。

【ビルメンテナンスがきつい】ビルメンテナンスから転職する際のポイント

ビルメンテナンスから転職する際のポイントは、次の2つです。

それぞれについて順番に詳しく見ていきましょう。

資格を取得する

ビルメンテナンスから転職するなら、資格を取得しましょう。

資格を取得することで、電気工事士や電気保安協会といった年収が高く設定されているような仕事に就くことができるようになります。

まず持っておくと実務に活かせる「ビルメン4点セット」と呼ばれている次の資格です。

第ニ種電気工事士	電気設備に関する業務全般の知識を有した証明となる資格。筆記試験と技能試験があり、合格率は60％程度。
2級ボイラー技士	施設内にあるボイラー設備の点検に関する知識を有した証明となる資格。試験の合格率は55％前後で、試験合格後に「ボイラー実技講習」の修了が必要。
危険物取扱者乙種4類	業務において引火性液体（ガソリン・灯油など）を扱える資格。合格率は35％で、毎年多くの人が受験。
第三種冷凍機械責任者	施設内の空調設備に関する知識を有した証明となる資格。合格率は30％前後と難易度が高め。

 

これらに加えて、ビルメンテナンスの上位資格もあります。

いわゆる「三種の神器」と呼ばれるもので、下記3つの資格です。

電験3種（第3種電気主任技術者）	施設内の受変電設備や電気設備を保守・点検に関する知識を有する証明となる資格。合格率は1桁台で難易度が非常に高い。
ビル管理士（建築物環境衛生管理技術者）	3,000平方メートル以上の施設を管理する際に必須となる資格。合格率は20％から30％程度。
エネルギー管理士	中規模以上の工場や事業所で管理者となる際に必要となる資格。熱分野の合格率は30％程度、電気分野の合格率は20％程度。

ビルメンテナンス自体は資格を持っていなくても働けますが、より年収の高い仕事へ転職したいという人なら、ぜひともこれらの取得を目指してみましょう。

転職エージェントを利用する

ビルメンテナンスからの転職を目指すなら、転職エージェントを利用してみましょう。

転職エージェントは、転職サポートが充実するエージェントサービスで、多くの転職希望者が利用しています。

大きな特徴として、在籍するキャリアアドバイザーから求人紹介が受けられるという点です。

また履歴書・職務経歴書といった応募書類の添削から業界・職種に対応した面接対策など、転職希望者が悩むことの多い選考対策を実施してくれます。

そして転職エージェントには、あらゆる業界・職種の求人を取り揃える総合型エージェントと特定の分野に強い特化型エージェントがあります。

ビルメンテナンスを初めとする設備管理の仕事に興味がある人は、特化型エージェントを利用するのがおすすめです。

特化型エージェントは、専門知識の高いキャリアアドバイザーが在籍しており、業界全体の市場動向や職場の雰囲気などリアルな情報を網羅しています。

また企業との太いパイプを持っていることが多く、良質な設備管理求人と出会えるチャンスもあります。

一人で転職活動することに不安を感じている人は、転職エージェントの力を借りて転職を成功させましょう。

まとめ

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ビルメンテナンスという仕事は、業務範囲が広く覚えることが多く、資格の取得を求められるといった部分できついと感じている人が大勢います。

しかし残業が少なかったり安定感があったりと、ビルメンテナンスだからこその魅力もあります。

きついから転職したいと感じたときは、働くメリット・デメリットなどを踏まえて転職活動をするかどうかの判断をしてみると良いでしょう。

もし転職に踏み切るのであれば、資格取得を目指してより待遇の良い企業へ転職を目指してみるのもおすすめです。

そして一人で転職活動することに不安がある人は、最後にご紹介した転職エージェントを活用してみましょう。

転職の悩みを気軽に相談できますし、選考対策までサポートをしてくれるので、きっと強い味方になってくれます。

今回の記事が、転職活動を考えている方の参考になれば幸いです。